第3章51話:剣の舞



そのとき竜人王が言った。


「なるほど、そこそこやるようだ。最下層まで来ただけはある。しかし残念だったな。その程度の実力ならば、数の暴力で踏み潰せる。それとも、後ろの女が本命だったりするのか?」


竜人王が来花に視線を送る。


鋭い眼光に見つめられ、来花はビクっとする。


ルミは答えた。


「……いいえ。彼女は見学です。できれば手出しは無用に願いますね」


「ふむ。本来なら断る相談だが、まあいいだろう。貴様を殺すまでは、そちらの女に攻撃はしないでやろう」


「ありがとうございます。では、私も少し本気でいかせていただきますね」


ルミはアイテムバッグを外した。


それからコートを脱いで、アイテムバッグへと収納する。


アイテムバッグから剣を取り出した。


愛剣【リーンソード】である。


アイテムバッグをふたたび腰へと取り付ける。


剣を右手に持って、構えた。


「では、いきます!」


床を蹴る。


地面すれすれを滑空しながら、竜人兵へと瞬時に迫る。


そして斬撃。


華麗な剣閃が竜人兵の首をとらえ、切り裂いた。


血しぶきが舞う。


さらにワンステップで地面をふたたび蹴って、横向きへ飛び、滑空しながら宙で回転する。


その回転斬りで二体の竜人兵がまとめて死んだ。


さらに。


ルミは地を蹴って、宙を舞う。


「はやイ……!?」


「なんだ、この動きハ!?」


「ぐぬぬヌ……!」


ルミはムーンサルトのような動きをしながら、空中で回転斬りを放った。


血の花を咲かせたのち、着地。


地に足をついた瞬間には、もう次のモーションに入っている。


音もしないほどなめらかに床を蹴る。


滑るように敵に近づき、剣を凪いだ。


流麗で、技の継ぎ目がなく、次々と繰り出される剣撃の嵐。


まるで床を滑りまわるフィギュアスケーターのように、走り、回転しながら、剣を振るう。


誰もが釘付けになるような美しきブレイドアーツ。


それは斬撃という名の舞であり、剣撃という名の芸術であった。





『うおおおおおおおおおおおおおおお!』


『やべえwwwwwwwww』


『かっけえなオイww』


『魅せる剣技』


『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』


『パルクール剣wwwwww』


『これはすげーわ』


『めちゃくちゃ美しい』


『どうやったらこんなふうに動けるんだw』


『舞うような戦い方』


『これでちゃんと強いのがすげえwww』


『なんだよ。格好いいじゃないか、ルミ!!』


『普通に見惚れる』


『俺もやってみたいwww』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る