324_拾われないマグロ

もう誰もいないもう何も聞こえない


深夜の駅はより寂しさが際立っている

高くなったせいか明かりが薄暗くなった

高くなったせいかゴミ箱がなくなった

高くなったせいか売店は自販機になった


終電は過ぎてしまったらしい

電光掲示板は消えている

何も教えてくれない看板だ


夜明けまで電車は来ないだろう

ならそれまでベンチで寝ていようか

それとももう線路で寝てしまおうか

そう考えるのも面倒になってきた


目が覚めるとまだ深夜の駅だった

もう誰もいないもう何も聞こえない


分かってる

知っている

どうせまた目が覚めたら深夜の駅だろう

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