ハッピーおじさん~不幸のどん底に落ちた男、幸運値が限界突破し、姪っ子の配信でバズるも、気づかないまま規格外ダンジョンを食糧庫代わりにして最強を超える召喚獣や従魔達とスローライフ~
第019話 おじさんがヤバすぎてヤバい(亜理紗視点)
第019話 おじさんがヤバすぎてヤバい(亜理紗視点)
■亜理紗視点
「おじさんがヤバすぎる件について……」
「ピピッ」
私はベッドにうつぶせになり、枕代わりにカシワモチを下に敷いて、タブレット端末で配信や録画した映像を見返していた。
最初からヤバかった叔父さんだけど、この二日間、最後までずっとヤバかった。ヤバすぎて語彙力がなくなるくらいにはヤバい。
「たった数日でどれだけの伝説を作ってるの……」
そう呆れる他ない。
・攻撃は全てクリティカルヒット
・完全アイテムドロップ(落とすアイテムを百%全部落とす)
・ボーナスポイントのランダム値は常に最高値
・テイマーじゃないのに、モンスターをテイムする
・上記の効果がパーティ全体に及ぶ
・一体しか召喚できないはずなのに一度に二体召喚する
・召喚されたモンスターは最高ランクを超える幻ランク
・装備の強化成功率百%
・初心者エリアの先のモンスターが全てレアモンスター以上になる
・ゲームでも数回しか出現したことがない超レアモンスターを一日に三度出現させる
・誰も倒したことのないモンスターを一撃で屠る
・木の棒を振っただけで森を割る
・誰もテイムしたことのないモンスターをテイムする
私がリストに書いてみただけで、十三個は伝説になるような出来事を引き起こしている。正直私も未だに夢だったんじゃないかと思っている。
「いたっ」
でも、頬つねってみても痛みはあるし、動画も消えたりしていないので、現実に間違いない。
これだけのことをやってのけながら叔父さんは自分の凄さに全く気が付いていないんだからその鈍感さが分かる。
「全く呆れちゃうよね」
「ピピッ」
もにゅもにゅと触りながら同意を求めると、カシワモチが「そうだね」と鳴いた。
「クリティカルヒットの回と召喚の回は配信で上がってるけど、それぞれ独立させて編集した動画があってもいいよね」
私はそれぞれの伝説に合わせて動画を編集して分かりやすく、かつ写ってはいけないようなものはモザイクや黒塗りなどで見えなくして動画を作成していく。再生リスト「ハピおじ伝説」を作ってそこにまとめて投稿する予定。
「そして、これは何度見ても尊い……」
それとは別に再生リスト「ハピおじ一家の日常」というリストも作って、叔父さんが召喚獣のマヒルとヨルや従魔のワラビモチとの日常生活を動画をあげることにした。
今回はおじさんがマヒルちゃんたちと戯れている動画だ。
これを見るだけで心が洗われるような気持ちになり、顔がついつい綻んでしまうのは仕方のない事だと思う。
今後叔父さんたちの日常も追っていくつもりだ。
「配信であれだけ反響があったんだから、これ全部上げたらどうなっちゃうんだろ。ぐふふっ。楽しみだなぁ」
今から、再生数がどの伸びて、どのくらいの収益になるのか考えただけで涎が止まらない。
この前のたった二回の配信で私のチャンネル登録者数は百万人を超えた。スパチャがおかしな金額になっていた。
おじさんが配信の後、伝手に連絡をして色々手配してくれなかったら、かなりヤバかった。
多分覚醒深刻とかってので割と詰んでたと思う。
流石おじさん、年の功。頼りになる。ただ、ゲームやネットの知識に疎すぎてちょっとマイペースに楽しみすぎてるのがちょっと心配。でも、そこは私が一緒に行動してフォローすればいいよね。
稼いだお金を使って何をしようかなぁ。
やっぱりおじさんと私が暮らす家を買うとか?
『亜理紗、ごはんが出来たよ』
『ありがとう、あなた』
おじさんと私が一緒に暮らしている光景をついつい想像してしまった。
「きゃー!! 私ったら何考えてんだろ!! 何考えてんだろ!!」
「ピピィッ」
私は恥ずかしくなって起き上がり、カシワモチをギューギューと抱きしめる。
ちょっと舞い上がりすぎておかしなことを妄想しちゃった。
おじさんは私がこんなに稼いでいることを知ったら怒るかな。いや、あの人に限って怒るなんてことするわけがないよね。むしろ、喜んでくれそう。
おじさんはいつだって私の味方だから。
「よし、これで編集完了っと。後はアップロードして公開するだけだね」
私はアップロードして最終チェックを行い、問題ないことを確認する。
「それじゃあ、公開ボタンを押しちゃうぞ!!」
私の指が端末の公開と言う文字に触れた。
―――――
■次回予告
ついにさらにハッピーすぎる動画が解き放たれた。
それを見たファンは歓喜する。
次回、「祭り」
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