100 滅びの草原で面倒な者6人を拾った
神国の朝です。
朝食は食堂に行ってみますか。
ゾロゾロと食堂に行く。
朝定食だ。美味しいね。みんな満足だ。
二百人衆がステファニーさんとマリアさんを見つけて礼をした。ステファニーさんもマリアさんも自然に受ける。流石元王女様だ。
食事が終わって、ドラちゃんとドラニちゃんが、見回りーーと言って飛んでった。野宿見っけーー。ゴードンさん達だろう。
ステファニーさんは、元国王一統とカリキュラムの調整をしたようで、マリアさんと打ち合わせ。
オリメさんとアヤメさんは裁縫。キリがなくあるからね。
僕らは何しょうか。
僕らも見回りだな。
アカに乗ってブランコとエスポーサをお供にゆっくり駆ける。広いね。緩やかな丘陵だから変化があって気持ちよく走れる。
あれ、ドラニちゃんが来た。
なになに、6人が滅びの草原に少し入ったところで魔物に囲まれて立ち往生してた。良い人そうだから、魔物は追い払ったけど、動かないよ。ドラちゃんがついてる。
行ってみよう。転移だ。ドラニちゃんが案内してくれた。
6人は、疲労困憊で、傷も多いし殆ど死にそう。
今にも死にそうな人から、救命谷川水100倍を振りかける。目をうっすら開けた。神様と言っている。抱き起こして救命谷川水100倍を飲ませる。光った。傷を治す。目が大きく開いた。
「神様」
と呟いている。
残りの5人にも急いで同じ処置をする。みんな光った。神の奇蹟だとか、神の御技だ、御神水だとか言っている。
また面倒な者を拾った予感がする。さてどうしますかね。取り敢えず事情を聞きますか。
アカとブランコ、エスポーサで周りを囲む。強力バリアと同じだ。魔物は近付けない。
6人は拝跪した。拝まれてしまう。一応聞いてみよう。
「どうなさいましたか」
「私ども6人、神聖教と袂を分ち、聖ドラゴン様を探して、滅びの草原の奥に飛んでいったとの話を聞き、跡を慕い、滅びの草原に足を踏み入れました。我らの信仰心の薄さからか、たった数キロ草原に入る道中、魔物に襲われ続け、遂に倒れ、まさに魔物の餌食にならんとした時、天から聖ドラゴン様が降臨なされ、魔物を蹴散らし、眷属神様にお乗りになられた親神様と眷属様をお連れいただき、親神様の御技と御神水により、消えかかった命を取り戻すことができました。我ら一同、この上は、親神様、眷属神様、聖ドラゴン様、眷属様に、身命を賭してお仕えいたします」
ああ長かった。これだから経典が出来るわけだ。面倒な予感は当たってしまった。どうしよう。
困った時のエチゼンヤさんだな。
「事情は分かった。スパエチゼンヤという施設があって、そこに棄教した元教皇がいるから会ってみたらどうか」
「あの教皇が棄教?」
「ドラちゃんとドラニちゃん、この子たちだけど、どういう訳か懐かれてね。棄教したみたいだよ。その後、刺されたところを助けたら聖ドラゴン様と言い出した」
「あの教皇が同志?」
「それで今スパエチゼンヤで働いているのだけど、どう、行ってみる?」
「行ってみましょう」
その前に服だね。ドラちゃん、乗せてくれる?
いいよーー。どど〜〜んと大きくなった。
6人、平伏してしまった。
「服を作りに行きますから、どうぞ乗ってください。乗らないと置いて来ますよ」
慌ててドラちゃんに登る6人。僕たちも乗った。
ふわりと浮き上がり、高度をとって加速。すぐ環状の森が見えて来た。スパ棟の近くにふわりと着陸する。6人はまだ目をつぶってしっかり掴まっている。
「降りて下さい。着きましたよ」
我に帰り、ドラちゃんから降りる。
湖の水面が光る。小鳥の囀りがきこえる。リスが地面を走り木に登る。
「ああ、ここは天国でしょうか?」
「僕たちの国だよ。神国。ここは住まいだね」
「住まいでしょうか」
「そう、家と庭。周りに森が取り囲んで、その外は滅びの草原、滅びの草原全てが領土」
6人は飽くことなく景色を眺め、小鳥の囀りに耳を傾けている。
「まずお風呂に入ってもらいましょうか」
いっぺんに入れるからスパ棟の風呂だ。簡単に入り方を説明し、脱いだ服を汚れ飛んでけで綺麗にした。
風呂から出たら食堂へ。おかわりして良いよと言って置いてくる。
泊まる所はゴードンさんが入っている宿舎だ。今の所ゴードンさん一人だけだから部屋数は十分。一応確認した。
さて食堂から出て来たので裁縫棟へ。人が増えているね。オリメさんを見つけて、6人の服を頼んだ。一応6人の希望を聞く。
「今と同じような服で何処かに聖ドラゴン教と入れて欲しい。丈夫な生地でお願いします」
聖ドラゴン教は、却下だ、却下。
刺繍が無ければすぐ出来るというので頼んだ。
採寸が終わったので宿舎に放り込んでお終い。6人は流石に疲れていたようですぐ寝たみたい。
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