031 ドラちゃんのアンクレットが出来た
日が昇ってきたけど、誰も起きないな。アカだけは目を開けていていつもの通りペロペロ。マリアさんはしっかり腕に抱きついている。エスポーサは頭を独り占めしている。ブランコは少し離れたところに転げて寝ている。ドラちゃんはお腹の上でへそ天で寝ている。いつも通りだ。皆んなを起こす。
「朝だよーー」
ドラちゃんがアンクレット、アンクレットと督促する。そうだね。収納から出してみると内側に、ありましたよ。“世界樹とシンとアカと共に生きん”という象形文字が。
「シン、その文字の様なものは何?」
気づきましたね。マリアさん。観察眼が鋭い。
「ええっとこれは世界樹の文字で、皆んなで一緒に生きようと言う様なことが書いてある」
「言う様な事がね。少し長さが違う様な」
鋭い鋭い。
「世界樹の文字だから絵みたいで長くなるらしい」
「まあいいわ。そう言うことにしておきます」
ドラちゃんが早く早くと前足を出して催促だね。
ほらつけてやろう。キラキラ光って綺麗だろう。つけたらドラちゃんの体が光った。良かった、良かった。
アンクレットの輝きは見たことないって。そうだよ。世の中にはない。だからここではいいけど、普段は不可視って頭の中で強く思えば見えなくなるから、見えなくしておいてね。それからアンクレットは収納になっているよ。今はまだ空だけど、アンクレットと出し入れしたいものに触り、入れと頭の中で言ってね。出す時はアンクレットに触れると中に入っているものがわかるから、出すものを選んで出ろと言うと取り出せるよ。そこに転がっている石でやってみて。
お、出来た。ドラちゃん優秀。
それからこれは首輪。街に行った時に従魔登録と言うものをして、鑑札を首輪につけるんだ。そうすれば街中にいられる。
わかったと言ってアンクレットに石や枯れ枝を出し入れして遊んでいる。確かに綺麗だよね。この世にない輝きだ。
「それとマリアさん、昨日夜内職をして、洗面所とトイレを作りました。洗面棟とでも名付けますかね。露天風呂にも追加しました」
洗面棟を出す。靴を脱いで上がる仕様だ。手前に一部屋あって洗面台があって、奥がトイレになっている。
トイレはもちろん温水洗浄便座。かの有名なウォ○○レットだよ。
使い方を説明する。
「これ何?」
ええ、聞かれてしまった。うう。
「前を洗う」
「あら、やだ」
マリアさんに顔を覗き込まれ顔がほてってしまう。話題を変えよう。
みんなのトイレもあるよ。人用トイレの隣りのドアを開けると砂が敷いてある。ブランコ、掘るんじゃない。そこはトイレ。
え、そうなの、砂遊び場じゃないの。そこはね、ウンチやオシッコをする場所だよ。その砂が片付けてくれるんだ。
ブランコがしばらく考えている。この頃ウンチもオシッコもしたことない。え、便秘なの?ええ、皆んなもそうなの。アンクレットで体が光ってから出たことないって。そういえば自分もしたことないな。エチゼンヤで買った落とし紙も使った記憶がない。じゃ砂遊び場でいいや。ブランコがゴロゴロしている。気持ちいいよだって。
閃いた。
「露天風呂の方は砂湯にしよう」
「砂湯って?」
「暖かい砂に横になって首から下に砂をかける。そのまま横になっていると砂の暖かさと適度な重みでリラックスできるよ」
でも暖かくないよとブランコ。皆んなで横になれる様に拡げる必要があるし、もう少し待ってね。
「じゃ朝飯にしよう」
今朝は市場で買って来たもので簡単に済ます。でもテーブルと椅子は出す。朝のミーティングがあるからね。
「この先しばらく行くと巨樹の森に行き当たる。今日はゆっくりそこまで歩いて行く。ここには大きな生き物はいない。襲ってこない限り狩らないで行こう」
はーい、ワン、ウォン、ウォン。キュ。ドラちゃんキュなの?へえ。
片付けして出発。
疎林だね。明るいよ。あちこちに何かいる。小さいね。
「マリアさん、疲れたらアカに乗ってください」
「大丈夫、ゆっくり歩っているし、全く疲れません」
手を繋いで来た。えへへへ。
途中昼食と休憩を挟み夕暮れ時に巨樹の森の手前に着いた。30キロくらい歩いたかな。ここで一泊。
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