第3話
「これだけの人数が証言してるんだからウソな訳ないでしょうよ。ねぇ? 殿下並びに取り巻きの皆さん方? よおく身に覚えがございますわよねぇ?」
そう言ってカエラは、エルムとその取り巻き共を睨み付けた。
「そ、そんなケイト...お、お前...お、俺だけだって言ったじゃないか...」
「な、なんだと!? お、俺にも同じこと言ったぞ!?」
「お、お前ら! う、ウソ言うな! ケイト! 俺だけなんだよな!? そうだよな!? そうだと言ってくれぇ~!」
取り巻き共が仲間割れを始めた。ちなみに彼らは宰相の子息で公爵家の次男、教会の大司教の子息で辺境伯家の三男、騎士団長の子息で侯爵家の四男と、それぞれが高位貴族の子息ばかりである。
「ま、まさかそんな...ケイト...君は本当に...」
エルムが信じられないというような顔でケイトを見やるが、彼女は心ここにあらずと言った感じで頭を抱えながら「ウソよウソよウソよ...」とブツブツ呟いている。
「殿下、お分かりになりましたか? 彼女が一体どういう人間であるか?」
「あ、あぁ...まぁ...」
エルムの歯切れが悪くなる。
「私は何度も注意しましたよね? ケイト嬢との過度な接触はお控え下さいと。その度に『うるさい! たかが伯爵令嬢風情が、俺のやることにイチイチ口を挟むな! 目障りだ!』とおっしゃっいましたよね? 時には暴力を振るわれたこともございましたっけ。もちろん覚えておいでですよね?」
「あぐ...それはその...」
途端に会場中から針のような視線がエルムに突き刺さる。エルムはその場で縮こまってしまった。
「阿婆擦れ女の抱き心地はそんなに良かったですか? 王族たる者、そのようなハニートラップに簡単に引っ掛かるなんて恥ずかしくないんですか?」
「......」
エルムはついに何も言えなくなってしまった。
「もちろんあなた方も同罪ですよ?」
カエラは取り巻き共に向き直って、
「側近候補として殿下の行動を諌めるどころか、注意した私をあなた方は殿下と一緒になって『伯爵令嬢のクセに生意気だ!』とかおっしゃっていましたわよね? あなた方がそんな大口を叩いた相手は、現時点で国母に一番近い位置に居る女だって分かって言ってましたか?」
取り巻き共は真っ青な顔になって俯いてしまった。
「あなた方の言動は全て国王、王妃両陛下に報告済みです。あなた方の実家にも話が通っております。あなた方、いつまで貴族でいられるかしらね?」
ついに取り巻き共は全員その場に崩れ落ちた。
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