第24話 砕けたダイヤ ※ざまぁ回

ざまぁ回です。苦手な方は読み飛ばして下さい。

時系列的には少し未来ですが本編のネタバレはありません。

------------------------------------------------------------------------------------------------


「残念ですが今回の裁判は実刑は逃れられないでしょう……」

俺の弁護を担当することになった弁護人がふざけた台詞を吐く。

「はぁ!?意味がわからねぇよ!

 つか俺が書類送検されたことすら意味がわからなぇんだよ!

 俺はあの金剛議員の息子だぞ!?

 あんなキモオタ殴ったぐらいで裁判にまでなる訳ねぇんだよ」


そう俺の親父は国会議員をやっている。

となれば普通は色々と便宜がはかられるのが当然だ。

実際今まで似たようなゴタゴタはあった。

しかし親父の名前を出せばあっさりと釈放された。

被害者側がゴネても親父が示談金を支払って終わりだ。


「親父は示談金を支払わなかったのかよ!?

 それとも相手が受け取らないとゴネてんのか?」

「今回お父様は示談金を支払っておりません。

 というか一度相手方に謝罪に伺っておりますが門前払いを受けております」

「はぁ?国会議員の親父が門前払い!?あのキモオタ如きに!?」

ありえない。

黒百合から聞いた限りではあのキモタタは普通家庭の人間のはずだ。

国会議員に楯突けるような権力はないはず。


「ええと、まず勘違いされているようなので申しておきます。

 門前払いを受けたのは被害者男性家族にではありません。

 被害者女性の家族にです」

「被害者女性……?」

「あなたが強引に連れて行こうとした女性ですよ」

「ああ、確かにそんなのも居たな。

 あの女が何だってんだよ」

「あの女性は鳳凰院家の女性です」

「なっ!?」

鳳凰院家。

中学生になれば元財閥系での巨大グループとして義務教育で習うレベルの名家だ。

その影響力は財界に及ばず政界にも圧倒的な影響力を持つ。


「あなたは鳳凰院家の女性に暴行まがいの行為を行い。

 その結果痣を付けるという結果を引き起こしました。

 その意味が分かりますか……?」

「そ…それは……」

恐ろしい考えが浮かぶ。

あの鳳凰院家が俺に重罪を課せと圧力をかけてきたら。

きっと司法すら動きかねない。


「あなたが考えている最悪のケースにはなっていません。

 しかしその一歩手前ではあります」

「どういう事だ?」

「まずはあなたのお父様から預かっている手紙を読みましょう」


金剛こんごうたける

 まず最初に告げておくがこの手紙を以てお前と親子の縁を切る。

 お前が鳳凰院家の令嬢に手を上げたことで私の党内での立場が悪化している。

 次期三役確定と言われていた私が基盤を取り上げろなどと言われる始末だ。

 間違っても私の地元基盤はお前には継がせない。

 今の秘書に引き継がせることと

 お前との縁を切ることを確約することで議席だけは守ると党も約束した。

 故に今日からお前は赤の他人だ。

 それ故にお前の裁判に私のお抱えの弁護士は付けない。

 精々国選弁護人で頑張ることだ』


「な!?ちょっと待て親子の縁を切る!?

 親父の基盤を俺が継げないってどういうことだよ!?

 大学出たら親父の秘書として雇ってくれるって話だったろ!?」

「残念ながらそれらのお話は全て無くなったとのことです」

「バ、バカな……」

「それでは未来の話をしましょう。

 先ほど教えました通り実刑は避けられない状況です。

 これは鳳凰院家が過剰な圧力をかけることはしませんでしたが、

 『厳粛な裁判を望む』とだけは言ってきました。

 これによりアナタに対しての減刑などを

 図ろうという意図が検察側にも司法側にもありません」

「なんだよよそれ!減刑が認められないって!

 結局圧力かけたのと一緒じゃねぇか!」

「アナタから見るとそうでしょうね。

 ですがこれでもマシなのですよ。

 現状アナタに掛けられているいる罪状は男性への暴行罪、傷害罪、

 そして鳳凰院家令嬢への暴行罪です。

 しかし鳳凰院家からの一言があるまでは

 令嬢への未成年略取を無理矢理にでも付け加えて

 何とか鳳凰院家に溜飲を下げて貰おうという流れすらあったのですよ」

「なんだよソレ!無茶苦茶だろ!」

俺は恐ろしすぎる権力の力に怯えながらも声を上げる。


「だからアナタの考えている最悪のケースは避けられたと申し上げたのですよ」

「ふざけるなよ……俺が何をしたってんだよ……」

「裁判ではそのような態度は辞めて下さいね。

 ただでさえ実刑は避けられない状況なんです。

 そのような反抗的な態度を見せれば刑期が伸びるだけです」

「なぁ……刑期ってどれくらいになるんだ?」

「10年で済めばいいでしょうね。最悪15年もありえます」

「15年!?もう俺はオッサンになっちまうじゃねぇか!?」

「怒鳴らないで下さい。本当に裁判の時は大人しくお願いしますよ」

何だよ刑期15年って……

これが怒鳴らずにいられるか……!

「面会の時間がもう終わりですね。

 次回までに男性と令嬢への反省の手紙を書いておいて下さい、

 それぐらいしかあなたに出来ることはありませんからお願いしますね」

「ふざけんな!俺は悪くねぇ!」

「はぁ……それで結構ですけど裁判でどうなっても知りませんからね」

そういうと弁護士は面会室を出ていく。


ふざけるな俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇ!


しかし裁判の結果、俺は懲役12年という実刑を受けることになる。

ふざけるな!ふざけるな!

俺は悪くねぇ!

俺の言葉は誰にも届くことはなかった。


------------------------------------------------------------------------------------------------

ということで金剛ざまぁ回でした。

次回からは舞台は2学期に移り、本格的にラブコメが始まります。

ラブコメ会話を考えるの大変だけど頑張ります。


またありがたいことに☆評価が150を超えました。

応援ありがとうございます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る