9作目の感想は、桑鶴七緒(旧深山花楓)様の「オートル・バトウ」についてです。

新聞に載っていそうな小説だなあと印象を受けました。

（良い意味です。失楽園に雰囲気が似ていると思いました）

落ち着いた情景と心理描写、しっかりとした筆力を感じました。

さて、ネタバレ感想いきます。

友人関係のような夫婦関係を営む二人。

セックスレスは、それに影を落とす。

海人は、同窓会で出会った同級生の妹に惹かれていく。

まさに性的に惹かれるというのはこういう感じなのですね。生生しくてリアルティがありました。

けれども既婚者である海人からは連絡を取ることはなく、同級生の妹依那からメールが届く。

既婚者にメールを送るのはどうか、ここから海人だけではなく、依那も海人に惹かれていることがわかりました。

読者としては悶々として読むのですが、妻である凪悠にも相手がいることにほっとしてしまいました。

海人もそれを知ったから大胆になっていったんでしょうね。

罪悪感も薄れますから。

お互い、好きになった人を選んで離婚の道を選ぶけど、８年の結婚生活は長い。この辺の葛藤がうまく書かれていたなあと思います。（あとちょっと未来が心配になったくらい）

時間を忘れて読んでしまうくらい、没頭できる作品でした。

この度は企画にご参加いただきありがとうございました。

次の感想は、松下真奈　様の「千夜とチョコと異星人 Rev」についてです。

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