【第3話】

 UTはそっと本を閉じた。見るべきではなかった。その後、家に帰ってさえ、すでに脳裏にこびり付いてしまった文章がフラッシュバックする。


 まだ自分の方が上手く書けるだろう。そう思い立ち、ペンを取る。


 ある程度書き終わった頃には、陽が傾いていた。


「これは傑作だ!早速本屋に売り込みだ!」


 書き上がった文章の、あまりの出来栄えに、興奮した。


「タイトルは......『マーニー』だ。」


 これが後に文豪となる男の、伝説の始まりである。

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