欲に溺れたお坊さんの教訓
O.K
第1話:欲に溺れて暴走するお坊さん
昔々、静かな山の中に、貧しいお寺がありました。このお寺には、若くて熱心なお坊さんが住んでいました。彼の名前は、慈心寺の寺主・恵心(けいしん)でした。
恵心は修行に打ち込む一方で、お寺を繁栄させるためにも努力しました。しかし、なかなかお金が集まらず、お寺の状況はなかなか好転しませんでした。そんなある日、恵心は山の中で奇妙な出来事に遭遇しました。
恵心が山中を歩いていると、大きな岩の下にひときわ輝くお宝が目に入りました。お宝は、金や宝石でできた美しい宝飾品や貴重なお札でいっぱいの箱でした。恵心は興奮し、お宝を持ち帰ることにしました。
お寺に戻った恵心は、お宝の存在を知った住職や寺の仲間たちに驚かれました。お宝は、お寺の財政を改善し、さらなる繁栄をもたらすことができると考えたのです。
恵心はお金の力に魅了され、ますます欲が出てきました。彼はお金を使ってお寺を立派に飾り立て、寺の境内には高級な装飾品や美しい庭園を造りました。さらに、教えを広めるために広告や宣伝にもお金を投じました。
お寺の状況は一変しました。人々は美しいお寺に惹かれ、恵心の説法にも多くの人が集まるようになりました。寺の収入は急激に増え、恵心の手には莫大な富が集まりました。
しかし、恵心は次第に熱心さを失っていきました。お金の力に溺れ、修行や真理から遠ざかっていったのです。彼は高級な生活に慣れ、贅沢なものを求めるようになりました。お金を稼ぐために、寺の教えを大衆に合わせて変え、人々に都合の良い教えを説くようになりました。
この様子を見かねた住職や仲間たちは恵心に忠告しました。「恵心よ、お金や贅沢な生活に溺れることは修行の真理から逸れる行為だ。もともとお金のために寺を建てたわけではないはずだ。真の幸せとはどこにあるのか、考え直すべきだ。」
しかし、恵心は彼らの言葉を聞き入れることはありませんでした。彼はますます財力に囚われ、欲望のままに振る舞いました。お金を使い果たし、借金を背負うことになりましたが、それでもなお豪勢な生活を続けました。
そして、ついには借金取りに追われる身となってしまいました。寺は荒れ果て、仲間たちは去っていきました。恵心は孤独になり、後悔の念に苛まれました。
やがて、恵心は自らの間違いに気付き、心を入れ替える決意をしました。彼は財産を全て売り払い、借金を返済しました。そして、再び真の修行に戻り、道徳の教えを広めることに専念しました。
恵心の態度の変化に感銘を受けた人々が再び彼の元に集まり始めました。恵心は謙虚な心で教えを説き、人々に真理の道を示しました。お寺も再び賑わいを取り戻し、恵心の教えは広く尊敬されるようになりました。
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