第26話「栗山町を封鎖しろ」
─ 時を遡ること数時間
栗山町上空 ──
「何だこの惨状は……」
日本UAF
「町が一日でこんな事になるもんかね……」
空からでも一目で分かる惨状。
家は崩れ落ち、倒れた人が点在している。空爆の跡は無く、他国なりテロ等で町一つを壊滅させる攻撃を仕掛ければ、さすがに気付くだろう。
全く何も気付かずにこうなったならば、原因は一つしかない。
「モンスターの襲撃、か。──ある日突然不幸が訪れる……だったか? こりゃ
この町の惨状を見れば、誰しもが生き残っている人はいないと思うだろう。ダンジョンが現れた時に、モンスターが暴れたような惨状と似ている。
河井支部長もその当時は幼かったが、世界中で起こった悲劇の映像は何度も見ている。
「もしかして、この襲撃がまた日本中で起るんじゃねぇだろうなぁ。──しかし巌上よ……これから二人で、もっと甘い汁を吸う筈だったのによ……馬鹿だなお前は。まだほんの少ししか儲けてないってのに。──待てよ、もしあれがバレたら俺一人の罪になるのか? でも、巌上がいないなら、独り占め出来るんだよな? ──止めるか続けるか……むむむっ、悩むじゃねぇか……」
誰もいないヘリの中で、そんなことを呟いていた河井。
もう磯良支部へ帰ろうと思ったその時。
「──ん? 人……子供か? 手を振って助けを求めてやがる。生き残りがいたとはな……。ちっ、面倒臭いな。降りた途端にモンスターが現れても厄介だし……見なかったことにするか。どうせあのガキも助からないだろうしな。──よし、上への報告はこの惨状と、生き残り無しってことで決まりってぇことで。はあ〜眠……」
河井は手を振って助けを求めている子供を見捨て、日本UAF東京本部へ通信を入れた。
「こちら磯良支部の河井。どうぞ」
─ 『河井さん、お疲れ様です』
「お疲れ。
─ 『はい、居られますよ。お待ち下さい。──── 河井か? 何の用だ』
「はっ! お疲れ様であります!」
─ 『バカ、声が大きい』
「す、すいません。実は栗山支部と連絡が取れず、今ヘリで偵察中なんですが……」
─ 『連絡が取れないだと? ──何だ? 何故黙る』
「町が、壊滅しております」
─ 『町が壊滅だと? 意味が分からん、何故その町だけ……待てよ、もしかしてモンスターか?』
「流石です長官。壊滅されたところを見た訳ではないので私見になりますが、恐らく長官の言われるようにモンスターの大群が町を襲い壊滅させたのでは、と推測します」
─ 『詳しく聞きたい。ん? 河井、ちょっとそのままで待て』
高牧が無線を保留した。暫くすると、高牧側から話が始まる。
─ 『すまん。栗山町に向かう道路が通れないと何件もの電話があって対応に困っているから助けろと、たった今警察庁から要請があった』
「何ですって! ──となると、この惨状と何か関係があるのでは?」
─ 『恐らくな。こちらからも、栗山町を立入禁止にするのに、人員要請を出す。磯良支部と福井支部とで栗山町を封鎖しろ。杉本警察庁長官には俺から話を通しておくから、お前と福井支部の田城支部長とで警察庁の人員を指揮しろ』
「はっ! 了解しました!」
─ 『総理の耳にも入れる必要があるな……。こっちは緊急会議を行う。話が纏まり次第に連絡を入れる。それまではそっちの仕事に集中しろ』
「はっ! 了解しました!」
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京子が下を向いて、指で遊びながらもじもじしている。
「それで……あの、えっと……」
「ん? どうしたんだよ」
「そうだ!
口籠っていた京子がいきなり元気良く話し出す。
「いきなり思い出したみたいに言うんだな。京子って人のステータスが見れるんだ……。ん〜、別に見るのはいいけど、変なステータスだから笑っちゃうかもよ?」
「え? そんな……人のステータスを見て笑ったりしないわよ。それに、噂で聞いてるからそんなに驚かないわよ、きっと」
京子が真剣な顔になり、自分の目の前の空間に手を
『
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名前 ─
価値 ─ 0円
ランク ─ ━
職業 ─ 神
状態 ─ 良
総合力 ─ ━
スキル ─ 最強
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空間に浮かび上がった俺のステータスを見ているのだろう。そこに目をやりながら京子がフリーズしている。
── 驚かないって言っときながら、結構驚いた顔してるけど……。
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