第69話 現代人は宿探しが苦手
マウリス教国に来て初めて寄った街なので、当然ながら宿に泊まることになるんだけど、約2名サイズが大きいので一般人向けの宿屋だと拒否をされてしまう。
具体的にはナージャとアル。あとはハルも羽含めたら大きいけど、花の台座部分があるアルと尻尾が数メートルあるナージャは体重も結構あるので格安宿屋なんて泊まったら床が抜けるレベル。
仕方がないので大きな魔物でも一緒に泊まれるテイマー用の高級宿屋に泊まる。何で資産数百億あるのに数万の宿代が気になるんだろうな。庶民感覚抜けきってないんだろうな……。
いやでも魔物1体を1人換算して、9人で泊まるなら普通の宿屋だと5万程度で済むのにテイマー専用の高級宿だと1泊25万はするから高いわ。まあ基本テイマーの魔物って庭とかに置かせて貰うのが常識だから本来は使役者本人分の宿代しかかからないんだけど、自分の場合は9人分換算になってるから高くついてる。
まあその分部屋が広いし他の客も少ないから良いか。……ベッドが4つしかないから元々ベッドで寝ないナージャとアルは除いて、ルーとロー、ムーとハル、スーとキューで1つずつベッド使う感じだな。まあ大きいサイズのベッドだし2人で寝れるだろ。
流石に部屋の中に入ったらムーも鎧と仮面を脱ぐんだけど、サキュバスとしての身体がエロ過ぎるのでキューが対魅了のバフをかけてくれる。……女神に不老じゃなくて不老不死望むべきだったかなあ。そしたらR18的な意味で手を出しても死ななかったのに。
そしてムーが手を天井に伸ばし、「んー!ぷはぁ」と伸びをした瞬間、天井裏から黒い服を着た男が落下し、ムーに抱き着こうとして、ムーに手で顔面を抑えられた。謎の男はそのまま何度も昇天させられているけど、本当にこれどういう仕組みだ。いや待て殺すな!?
「死なせるなよ!?」
「滅茶苦茶出たけどギリギリ生きてるわよ」
「……ぁあ……ああ……」
「喘ぐな変態」
ムーに顔面を掴まれ、膝から崩れ落ちた監視者はなんかめっちゃ射精させられてるけどやっぱりここR18ゲームの世界かな?その後、喘ぐな変態とローに蹴られて壁に叩きつけられる。……こういう時、一番手加減が上手いのはローかな。ルーなら蹴りで胴体切断してるだろうし。
気絶した男の顔を見るとかなりやつれているので、今の一瞬でどれだけの生気をムーは吸い取ったんだ。何と言うか、1人で国滅ぼせそうな奴は本能的に恐怖も感じる。……想定通り監視者はいたわけだけど、入国後わずか半日で監視の目が付くとは思わなかった。
まあ自分達は目立つし、危険な行為をしないか見張るぐらいはしないといけないのかな。この男の人は災難だったな。ムーの色気に素で耐えられる男はたぶんいないレベル。伊達にサキュバスのクイーンじゃない。
……これ、キューのこと考えるとムーはもう一段階進化あるんだよな。もはや恐怖でしかない。自分の理性が焼き切れないことを祈っておこう。
「起きないなあ。どうするのこいつ?」
「とりあえずマウリス教国の上の方の人間と接触できる良い機会だから捕虜にして聖都まで連れてく」
「うーん、じゃあ自殺しそうな道具や危ないものは全部外しておくね」
ルーが剣で頬をペシペシしているのに起きないので、そのままルーに危険物の除去を任せる。何か服のあらゆる場所からナイフや毒っぽいのが出て来るんだけど一応腕利きだったのかな。
途中で面倒になったのか、服をえいとルーが脱がせると、男の背中が何かの刃物で切れてそのまま傷口が変色する。うわあ毒ナイフ引っかけてるじゃないか。元々死にかけだったのもあり、かなり顔色は悪くなっていたので仕方なくハルに回復させる。
ついでにズボンも脱がせるけど色々と汚かったのでハルに窓の外で燃やして貰った。灰すら残らない火力で燃やせる辺り、ハルもかなり強くなったなあ。……にしても人間って、限界まで絞り出されるとあそこまで出せるものなんだな。
ある程度ハルの回復魔法で回復したら、生気が戻って来たのか顔色はかなりマシになる。ただまあすっぽんぽんの男がずっと同じ部屋の中にいるのも非常に不快なので、四肢を縛って窓の外に吊り出しておこう。今日はもう眠いし明日の朝に対応しようかな。
あと他の暗殺者とかが自分達の寝込みを襲う可能性も出て来たので、キューに頼んで一晩は継続する結界を、部屋を覆うように作って貰う。ナージャとかムーとかほとんど寝ない系の魔物は警戒してくれるけど、寝る魔物は寝るし寝起きの戦闘力は半分以下になるからね。
寝惚けた魔物が自分以外の人を殺さないようにするためにも結界の強度はマシマシにして貰う。本当、暗殺者の命の方が心配になるレベルなんだよ。今回の監視者もちょっとムーの手元が狂っていたら死んでたし。何なら今すっぽんぽんで外に吊り下げられているから社会的に死んでるし。
……そう言えば天井裏に居たってことは、宿屋のおっさんも共犯者なのかな?それか単に隣の部屋と天井裏が繋がっていたかだけど、魔物の数の多いテイマーが泊まる宿なんてものは限られているだろうし、入国した時点で警戒されていた可能性は高いか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます