前のエピソード――第4話　現代人は矢の対処をするのが難しい

ダンジョンのある街にある魔物商店は中々に規模が大きく、またエリートフェアリーを2人連れ歩いていることからDランクの魔物まで紹介されるようになったけど今魔物を買うのに使えるお金は20万円ほどなので、30万円するエリートフェアリークラスを買うのはちょっと厳しい。

というかエリートフェアリーを連れ歩いていたらもう一人前のテイマー扱いされるのか。まだこの世界に来て一月半程度の駆け出しなんだけど、やっぱり恩恵っぽいものはあるみたいだな。とりあえず弱い魔物の中で、魔力が多い個体をひたすら探す。現状、魔力でしか比較できないからこれが最善だと思う。

そして何度か確認していくうちに、うちのインプのムーもそれなりに優秀個体であることに気付く。大抵のインプの魔力が11か12だから、恐らくレッサーインプからの通算レベルでレベル×1が最大魔力なんでしょ。それがレベル×2なんだから優秀に決まってる。

まあスーはレベル×5という頭おかしい数値してるけど。これやっぱ店側は最大魔力見えてないっぽいね。魔力量が違うと知っていたら値段変えるはずだし。

しばらく悩んだ末、前衛としてGランクのスネークを2000円で購入。……うん、この子たぶんFランクのレッドスネーク、Eランクのビッグスネークに進化する前の魔物だよね。ビッグスネークになると全長で2メートルぐらいになるから結構な迫力になるし、打たれ強い魔物だと紹介された。

実際、蛇の生命力って凄いしね。そしてこのスネーク、レベル2なのに魔力が最大値で13ある。通常のレベル1個体が最大値10、レベル2で11ということを考えると3倍である。

ローが3ずつ、ルーが2ずつ上がっていたことを考えるとローはたぶん通常のフェアリーの1.5倍なんだよな。これが他のステータスにも影響しているのかとかはまだ分からないけど、とりあえず魔力量は多ければ多いだけ魔法を使えるし、少ない方を選ぶメリットはない。

まあスネーク単体だとまだ魔法使えないけど。インプのムーも使えてないのでEランクのビッグスネークになるまではただのペット扱いかな。ルーとローの前衛魔法使い生活はまだまだ続く。

「やああああああ」

「ルー!?」

ついでにエリートフェアリーになってから単語だけ喋るようになったこの2人。意思疎通が随分とやりやすくなったし、今もデカいオークに殴り飛ばされたルーをローが心配する素振りを見せているので人間っぽくなっている模様。まあ外見が少女だしな。たまに魔物特有の価値観披露してくれるけど。

地下7階にもなると、10レべを超える魔物が出て来るしその中でも大型のオークは中々に相手をするのが辛い。身長2メートルぐらいないかこれ。だけどお金になるし、たぶん経験値がめっちゃ美味しい。あと身体が大きいからこそ、スネーク君が首に巻き付くという単純明快な技が決まりやすい。

振りほどこうとする腕にムーも噛み付き、その間に吹き飛ばされたルーをスーが回復する。ルーはすぐに戦線復帰して、小さな水滴をオークの眼球を狙って射出。中々にうちのパーティーも強くなってきたな。

ラストはスネーク君が首を絞め続けて気絶したところを、自分が首を切り落としてトドメを刺す。心臓をナイフで突こうとしたらかなり力がいるし、結局首筋切るのが一番早いよね。接近戦はもうしたくないから、トドメの美味しいところだけ貰ってレベルアップをしている。

レベル11のオークを倒したところで、スネーク君がレベル10になったのでレッドスネークに進化させる。元々緑色の蛇だったのが、赤くなっただけだなこりゃ。そしてスネーク君がレベル2からレベル10になるまでの経験値を得て、ルーとローはようやくレベル2に上がる。エリートフェアリーのレベルの上がり方は恐ろしく遅いな。

スネーク君の購入後は、ダンジョンの9階までの探索を続けてはその日の内に帰るという生活を繰り返すことになる。地下10階には門番がいるようなので、そこまでにしっかり準備しておきたい。とりあえずスネーク君はレベルアップが早いので、さっさとEランクのビッグスネークにまで進化させるか。

ヒールスライムのスーもレベルアップが早いので早々に進化しそうだけど、何に進化するんだろうか。もしかしてもう進化しない、なんてことはないと思うけど、11レべ以上に育てた時にどうなるかの実験は何処かでしてみたいな。

「これ、今日の素材です」

「今日もかなり多いな。そんなに稼いで何に使うんだ？」

「良い装備を買って良い魔物を買ってもっと奥まで進んでいきます」

「……息抜きとかしてるか？というかその魔物達、全員進化させて揃えたんだろ？どうやったんだ？」

ダンジョンの探索が終わったら冒険者ギルドの受付のおっさんに素材を渡して、今日は5万3千円ほどを入手する。やっぱりオーク狩りは儲かるしレベリングになるから、これからも積極的に狩ろう。ルーやローがたまにぶっ飛ばされてるけど、2人同時に吹っ飛ばされることは稀だし、万が一そうなってもスネーク君やムーが攻撃すれば立ち直る時間ぐらいはある。