クリスマス特別企画 5章 エルロード聖国編 プロット
PS
没稿というか何というか。クリスマス記念の短編が仕上がらず代わりに挙げたエルロード聖国編のプロットです。書くとしても相当先のことになりそうだしそもそも書けるかも分からないので載せておきます。以下当時の文章そのままです。
えっと、短編が上手い感じに仕上がらなかったので、需要があるかは分からないですが、5章のプロット公開です。26日になったら近況ノートに移してサポーター限定記事にしようかと思ってます。本当にほぼ生のプロットそのまんまなので、文章が散乱しています。プロットは簡易的な小説という理論でやってるので、部分的にはもう雑な小説です。
一応先のことまで考えていると、そういう根拠を示しておこうかなという考えもあります。あとは、色んな時間的金銭的制約からこの章の公開までたどり着けるか分からないので、取り合えず深く考えず一旦公開してみようかなと。結果はどうあれ、WEB小説の公開は無料なので。
5章 エルロード聖国編 プロット
プロローグ 地獄の詩
しろの食人中の様子を暗示する詩
キーパーソン
しろ 犬の亜人 キーパーソン。エルロード聖国の野良犬亜人。人語不安定。ゲームでは惨い目に合って殺され、明るい一辺倒だった大空ライト君を曇らせ、大人にさせる役割と強い決意と覚悟を持たせる役割を果たす。避けられない鬱エピソード。なので、玄咲は回避しようと奔走する。
A子(アイ?) ゲーム時代の玄咲のレベルを受け継ぐエルロード聖国の1年生。玄咲の転生日と同日レベル100になり、神の子と呼ばれる。ゲームと異なるイレギュラー。カニバル卿の娘。バエル賭けて決闘。
カニバル卿(仮名) 生きたまま亜人を食うのが趣味。A子を溺愛している。
マギサの発案で有望生徒に更なる意識改革させるためエルロード聖国のラグナロク学園に当たる学園と交流戦。1対1×3。メンバーは1年、玄咲、カミナ、リュート。2年ルディラ・メルキュール(ミス・ラグナロク。魔力お化け)。適当。適当。3年天之明麗、未定、未定。
シャルナは堕天使でエルロード聖国にいける筈がないのでお休み。玄咲不在の中、学園でポンコツとヤンデレぶりを発揮して、実は玄咲に隠れてるだけで相当なダメ人間であることが露呈する。
玄咲の体毛で髪の毛を作った玄咲人形を愛でて、髪をむしゃむしゃして、ヒロインたちにドン引きされる。そんなコミカルシーンを何回か挟む。そして最後、玄咲人形が壊れる。シャルナ、玄咲に何かあったんじゃと心配する。
到着。亜人奴隷が平然と売られていたり、プレイアズ王国では人権のある亜人が肉屋で売られていたり、アマルティアンの残虐ショーが公演されていたり、狂った光景。そんな中を宿舎まで歩いていると。子供に引率のクララがファイアボールを受ける。「どうだ悪の亜人め思い知ったか!」親が止める、「亜人は危険よ。危ないことは辞めなさい」叱らない。
玄咲切れかかるが、クララに本気で、半怒りで止められる。玄咲の身を案じてのこと。あとで礼。子供の頭を掴み、本気の殺気を贈って、失禁させる。そのことが問題になり、宿舎の牢屋に入れられる。
あら、天之くんもですか。色々極端な生徒会長も一緒。抱き着かれる。クララが礼を言いに来て、「……」「……」「ゴホン、失礼しました」玄咲。絶望。だが明禮と仲良く、でもエルロード聖国について語る。説明受ける。一日収監で、解放。
翌日以降
しろ、ストーリーまげて助ける。決して町に近づくな。特にカニバル卿の住むあの城には。
しろ、玄咲に会いたくて、町のはずれをうろつく。密猟者に見つかり終われる。町の路地裏で、「そいつは俺の奴隷だ」俺が飼い主だ。反論を殺気で黙らせる。
明麗助ける。
しろとのコミニュケーションパート。
レベル100。玄咲のADとカードとレベルを受け継ぐ。A子。明禮の殺害失敗にいらつく。
恨み。A子。保護されたしろが、誰もいなくて不安で、玄咲を探して旅館をうろついているところを見つける。醜悪に笑う。げんさくはあっちだよ。あっち? しろ、あっち、いく!
うん。ついでおいで。人気のないところ。ばちっ、しろ。大好きな、げんさくに、あえる。これから、ずっと、しあわせなひびが、つづく。げんさく、すき。ただ、あいたくて、なにもなくても、あいたくて、きっと、このさきに、
えいえんの、らくえんが、あるはずで――
バチッ。
しろの視界が暗転する。闇の中に堕ちる。
向こう側は薄暗い世界だった。
「気が付いたかい?」
真っ黒な中に赤が一杯生まれた。
白い光を二度と見れなかった。
しろは自分が地獄に堕ちたのだと「嫌がぁあアアアアアアアアアアアががぎゃアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアわああああああああああああああああああああああああああああああげんさくがぁああああああわあああああああああああああああああああああああああああああげあああああああああああえおああがあああああああああああああああああああああ
赤い中に、命が落ちた。
しろの目はもう光を映せない。
生きてても、死んでても。
えげあがあああああああああああああああああああああああ」
目が覚める。
薄暗い部屋で目が覚める。
そしてもう、二度と白い世界を映さなかった。
目が覚める。
「気が付いたかい?」
裸の男が立っていた。
しろの世界が闇に閉ざされた。
しろ、生きたまま食われる。生き地獄を味わう。葬儀屋の運ぶゴミ箱からリボン付きのしっぽがはみ出る。拘束されて生きたまま食われたらしい。どっちの意味で? 2つの意味で。最後まで飼い主の名前を呼んでたらしいぜ。飼い主? 誰だそれ。えっと、確か、
「げんさく、って言ったか」
ゴミ箱を開ける。あ、お前、見ない方が。
白と目が、合わなかった。
生首の目はがらんどうだった。
肉さえ、残っていなくて、骨に肉片がこびりついていて、肉片に噛み跡が残っていて――。
「あああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
「――――」
自分のものとは思えない絶叫が口から迸った。
マギサ、学園町
しろを蘇らせてください。
――いや、そりゃもう
さえぎる
忘我の状態で、縋るような笑顔で
お願いです、蘇らせてください……
……まぁ、一応可能性はあるか。私だって見立てを間違える可能性はあるし。
顔が明かるぐ
とりあえずクロノスに聞いてみよう
駄目だ。もう24時間経過している、それにしても、なんと、惨い。
こんな生き地獄を、今の人は生み出すのか。
……何をされたか、分かるのか
ああ、見るだけならな、24時間以上遡って見れる。何をされたか、聞きたいか? まず拘束されて性器を
……いやだ。聞きたくない。今聞いたら、壊れてしまう……。
そうか。それがいい。口で説明するのも躊躇われる
……いやいい。きっと、今聞いたら、本当に壊れる。
そうか
んな畜生、生かす価値もない。マギサ、今から存在を抹消させに
できるかい
簡易召喚解除
……
頼みが、あります。
なんだい。
殺させてください。
OK。私にいい考えがある。
食事食う。しろの肉だと決闘前に手紙が届く。全部吐く。何も食べられなくなる。精神状態最悪。バエルがアンティ。
射弦義カミナ 雷神モード ゾディアックサンダー 近接戦闘でも圧倒。最強候補に名乗り出る。
リュート。危なげなく普通に勝つ。
魔力が内に籠っている。しろが使い方を、走り方を導く。
しろ、一緒に走ろう。お前は走るのが早かったよな。走り方を教えてくれよ。感じるよ。傍にいるんだろ。なぁしろ。一緒に走ろう。最後のレースだ。ゴールは、地獄だ。
この地獄を。
地獄へと。
人知を超越した光景だった。物理法則に反していた。
距離が一瞬で0になった。まるでこの世ならざる道でも走ったかのように。引かれたA子が宙を舞った。かと思えば
レベル100の人間が、いまだレベル70の人間に、
眼下に指をひっかけなぎ倒す。皮膚を破り骨を砕き突き刺し、剥ぎ取る。
「黙れえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええあああああああああああああああああああああああああああああ!」叫ぶ。慟哭。怒号を黙らせる。
目ん玉を食らう。まずいな。こんなものを喜んで食うやつは人間じゃない。
人間じゃないから、何をしてもいい。
悪魔だから
食う。
子宮にドミネイトオーラをぶっさす。
だずげでぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええぱぱあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
カニバる卿決闘に手を出す。作戦通り、玄咲は死線上にAこの体を投げ捨てる。股間から頭頂部まで貫かれA子絶命。最愛の娘を自分の手で殺してしまう。法律違反で死刑。物理的にもみ消そうとする。マギサが天に魔法。天が爆発した。100発は打てる。この国を亡ぼすには10発もいらないけどね。どうする。戦争にするか、しないか。私はどっちでもいいよ。久しぶりに暴れるのも悪くない。魔力だけで倒す。ありえない現象。降参。
いや、しない。カニバル伯爵を好きにしてくれ。
死刑。
マギサ高笑い。レベル100とブートンと並ぶ4大権力者を始末出来てご機嫌。
地図から失くしてしまう。それも一種のスマートな解決方法だと前々から思っていたんだ。戦争なんて趣味じゃないが、やりたいなら仕方ない。私とエルロード聖国で戦争を始めようか? ええっ!?
悪魔と呼ばれた日。
異名がつけられた。シンプルだった。悪魔(デビル)。という異名が。新聞に赤い眼をしてる時の決闘中の様子が乗り、世界中に名が広まる。
決闘後、A子の肉を膨大な血と共に吐き出し気絶する。精神が完全に壊れる。
しろ! あああああああああああああああ! 死体。会話。絶叫の果て。ああ、もう何もかもいやだ。反射で窓の外に走る。その向こうに救いの光が見える。しろ? しろが読んでる。ああ、今そっちに。地獄。自分から逃れたい。何もかも全てから逃げ出したい。幻覚から逃れられない。
ああ、呼んでる。しろ、そっちにいるんだな。俺も今、行くよ。そっちに――窓から飛び降りる。自殺
天之明麗。シャルの白じゃない。シャル、ああ、シャル、シャルに合いたい。シャル、どこだ、シャル、シャル、ゴミ箱を浅くる。寂しく笑う。……やっぱり、天之くんは、どこまで行ってもシャルナちゃんが大好きなんですね。私じゃ、ダメみたいですね。
クララ、先生。クララ、先生……! 抱き締める抱き締め返す。しろが、なんであんなひどい目になんであんな悲しいなんでもしてあげる抱き締めてうん抱き締めてうん抱き締めてうん。SEXがしたい。
クララ先生はつらいときいつも俺を励ましてくれたんだ。
クララ先生好きだクララ先生好きだクララ先生好きだクララ先生好きだ
「――」
クララの背筋に冷たいものが走る。だが、抱き締め続ける。
「う、うん。ずっとそばにいてあげるからね」
「う、うん、そうだよね。クララ先生はずっとそばにいてくれたもんね。前の世界でも、ずっと」
――。
「前の、世界」
うん。俺が~~なときは~~してくれた。俺が拷問されたときは、~~されて~~されて~~されて
延々拷問の内容を読み上げる。それから、言った。生まれて初めてのSEXを許してくれて
「ひっ」
クララが悲鳴を漏らす。思わず、離す。玄咲はクララがクララでないと、クララがとるはずがない行動をとって精神に亀裂が入る。ク、クララ先生はそんな行動しない。ク、クララ先生じゃない? クララ先生じゃない! え、じゃあ、ゲームの世界、じゃない。ここは、どこだ。ここはどこなんだ! 俺はどこにいる! 俺はいま、どこにいるんだ! ゲームの世界じゃない! クララ先生じゃないから。あれ、じゃあ、ゲームの世界じゃないから
リセットボタンがないから
しろが蘇らなくて
しろが生き地獄を味わったままで
しろは俺が殺して
ゲームより酷い目にあわせて
しろは
もういなくて――――
玄咲は壊れた。
あああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!
窓の外に飛び出そうとする。クララが抱き着き引き留める。SEXだって、して、あげるから……。スカートを脱ぐ。クララじゃない人間が、クララの顔で、クララが絶対しないことをして、クララじゃなくて、でもクララだって本当は分かってて。
自分を許せなくて
大好きで愛してるクララにそんなことを言わせた自分を殺したくて
窓の外に逃げ出した。死が少しだけ玄咲を癒してくれた。
クララの心が折れる。
もうどうしようもない。時を止める。
クララにしてほしいことをする。
クララをクララとして見れなくなる。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
SEXでも、してあげるから。スカートを脱ぐ。あ、ああうろたえ、取り乱す。クララ先生はそんなことしない! クララ先生はそんなことしない! クララ先生はそんなことしない! クララ先生じゃない! クララ先生じゃない! クララ先生じゃない! ゲームの世界じゃない! ゲームの世界じゃ――。
つまり。
リセットボタンがない
取り返しがつかない。
しろが蘇らない。
玄咲は狂乱した。
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああしろがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああしろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
だ、大丈夫、だから、お、おちついて、SEX、して、あげるから
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!
ルディラ、慰める。シャル、シャル……!「それでも、傍にいます」抱き締める。胸に痛みを覚えながら。
君は、優し過ぎるから、怖いんですね。あんなに怖くなれるんですね。怒れるんですね。多分、人間の尺度の優しさじゃなくて、本当に、動物みたいで、だから、しろちゃんとも、あんなになかよくなれたんでしょうね。……そうかな。そうですよ。言葉が聞こえているが、効果はない。カミナは微笑む。君ならきっと、立ち直れます。僕は信じてますよ。
シャル、ああ、シャル、シャルだ、平和な、世界だ。大好きな、楽園だ……。シャル、ただいま。愛して、る……気を失って、倒れる。
シャル、会いたかった。ああ、シャル、シャル。ただいま。シャ、ル……すり抜け、倒れる。
玄、咲? 答えない。起きない。生気がない。
――玄咲ッ!
死体をシャルナは抱きかかえた。
一人で自分の部屋でうずくまる。その手にはバエルのカード。二人と話す。死んだように。慰められない。だけど、少しだけ落ち着く。だから、ずっと、傍にいてもらう。シーマが、バエルが、慰めてくれる。
だけど、しろの代わりにはならない。
シャル
「――玄咲?」
「――シャル。ああ、シャル、だ……」
学校に行ってほしい。君の幸せが何より大事だから。頼んだのは玄咲なのに、早く帰って気ほしくて仕方なかった。
隣り合って、座る。学校の話をしてくれる。楽園の話。涙を流しながら聞く。平和な世界。自分の大好きな世界。少し、癒される。シャルが楽園の住人でいてくれて心底安心する。地獄に堕ちたのが自分だけで安心する。だから、癒される。シャルの幸せが、少しだけ分け与えられる。少し会話して、言った。抱かせてくれ。いいよ。
シャルを抱き締める。落ち着く? うん、少し、落ち着く。現実から、逃げれる。白い、しろ。
あ、ああ
幸せになる資格なんかない。
あああああああああああああああああ! 窓の外に飛び降りようとする。シャルナが抱き締めて、何度も頭をなでる。落ち着いて、ね? 私が、ここにいるからね。私の傍から、離れないんでしょ? ずっと傍にいてくれるんでしょ? 私を、守ってくれるんでしょ? 私の夢を、私と夢を叶えるんでしょ?
私を幸せに、ううん、私と幸せに、なってくれるんでしょ……?
ああ、そうだ。シャルを、残してなんか、いけない。俺は、地獄だって、シャルのためなら彷徨うんだ。俺が地獄で、君が天国。それがあるべき形なんだ。だから、これでいい、これで――。
いやだ、
こんなもの全部吐き出したい。
抱えきれない地獄があふれる。
おええええええええええええええええええええええええええええええええええ!
吐血のように、胃液が溢れる。シャルナが泣き抱き締めながら何度も背中をさする。
お前の夜食。実はしろの肉だったんだよ……。
――。
お、おえええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!
それから、もう何も胃に入らなかった。
食欲、相変わらず沸かない? うん。何も食べてない。
そっか。無理してでも、食べたほうがいいよ。体が、ダメになっちゃうから。吐いて、しまうんだ。もう、ダメだよ。無理して食べても吐いてしまうから意味がない。そもそも、食欲がそもそもわかないんだ。もう、何に対しても――
私に対しても?
え――?
ポチ、ポチ。シャルナが服のボタンを外す。そして何の躊躇いもなく脱いだ。シャツまでも。真っ白な裸体が、上半分、露になる。そして、下も。
シャルナがパンツを脱いだ。もう身を隠すものは何もなかった。体の何もかもを曝け出して、シャルナが玄咲に再び問いかける。
「私にも、食欲、湧かない?」
意味が分かってしまう。YES。そういいたいのに。
体の一部がすっかり反応してしまっている。仕方なく、言う。
「そりゃ、シャルに、そんな恰好されたら、反応しない訳がないだろ……」
「くす、それなら、良かった。私を、食べて」
身を乗り出し、体を密着させ、服の上から摩るシャルナ。玄咲は慌てて、突き飛ばす――こともできず、尋ねた。
「な、何で急に、こんなことを……」
「……もう、今の玄咲は、荒療治しか、効かなそうだから、もう、これしかないかなって。これでいいか分からないけどね。試してみようよ」
「そんな理由でシャルを抱くなんて」
「玄咲は! 死ぬ、手前なんだよ!? 重大な、理由だよ……!」
シャルナが抱いて、唇を無理やりに重ねる。舌を入れ、ディープな奴。舌を離して、言う。
「どんどん、大きくなって、いってるね。よかった。まだ、生きてる。その、生きてる、部分をさ、もっと、広げて。私を、食べて」
「……シャル。言いたいことは分かった。でも、無理なんだ、」
「――なんで?」
シャルナは泣きそうな顔で尋ねる。
「今、君としたら、君を壊してしまう。傷つけてしまう。それが怖いんだ。君が元気でいてくれることが俺の唯一の希望なんだ! もう、傷つきたくないんだよ!」
「私、玄咲の前だから、元気そうに、ふるまってる、だけだよ?」
――
「え?」
抱き着き、震えなく
「私たちはさ、全部一緒でしょ。嬉しいのも、楽しいのも、つらいのも、悲しいのも、痛みも。元気なわけ、ないじゃん……! 玄咲がさ、つらいならさ、私にも半分、分けてよ……! それが、私たちの、関係でしょ……!」
つらいとき、一緒に入れなかったこと、玄咲の苦しみ、なぐさめられなかったこと、一人だけ平和に過ごしてたこと、そして今も、力不足で、説得しきれないこと、全部、全部ね、つらくて仕方がない。心が、壊れちゃいそうだよ
「シャ、シャル。そ、そんなこと、言わないでくれよ。俺は、もう、どうしたらいいかわかんないんだ……」
「一緒に、幸せになろうよ。今だけはさ、うんと堕落してさ、何もかもから目を背けてさ、ただただ快楽だけに集中して、私に集中して、何もかも忘れちゃおうよ。それが今、玄咲に一番必要なことだよ……!」
泣きながら抱き締めて、それでも笑顔を保ち続けるシャルナ。どこまでも、天使で、堕天使で、玄咲の宝物で、何より愛おしくて。そして何より魅力的で。
気付けば玄咲はシャルナを自分から押し倒していた。
「――玄咲、きて」
「シャル、もう、何もかも、めちゃくちゃだ。理性も、もう今日はこれ以上保てそうにない。何もかも、忘れたい。もう、全部、忘れてしまいたい。せめて、今だけでも――!」
「うん。忘れよ。つらいのも、悲しいのも、欲望も、食欲も、何もかも全部、私に吐き出して。幸せも楽しさも、痛みも苦しみも、何もかも全部私と分かち合お。だから、きて」
シャルナが両手を差し出して、天使で堕天使な笑みを浮かべる。
「一緒に、堕落しよ」
「――シャルッ! シャルナッ!!!!!!!」
玄咲はシャルナに食らいついた。己の全てを解き放った。
「……シャル、死なない、よな。大丈夫、だよな」
「大袈裟、だよ。死ぬわけ、ないでしょ。……死にそうだけど」
「痛かった、よな。血が出てる、もんな。ごめん、ごめん。止められないくらい、弱くて、ごめん……」
「いいよ……玄咲に、与えられるなら、痛みも、喜びなの。私、玄咲に、狂ってるの……だから、幸せ……」
「シャル、ごめん! ごめん! でも、ありがとう……永遠に愛してる……!」
「あはは……少しは、元気に、なったね。少し、憑き物が、落ちた、顔してる。私の中に、吐き出した、お陰だね」
「ああ。ああ。全部、シャルのお陰だ。シャルが、全て、受け止めてくれた、お陰だ。俺の、獣を、狂乱を、よく、こんな、小さな体で……!」
「小さいけど、玄咲の想像よりは、ずっと強いよ。高レベルの魔符士だし、私、昔から、運動神経、いいんだよ」
「うん。うん。知ってる。シャルは強い。俺なんかよりずっと強い。既に能力だけで言ったら俺より遥かに上だ。才能だって。絶対、夢だって叶う。俺が、保証する。シャル、大好きだ。大好きだ。大好きだ。俺、もう君なしじゃ、いられない。本当に、君なしじゃ、もう生きていけないよ……この地獄は、もう一人で歩いてなんか、いけないよ……一生、守る。だから、一生俺の傍にいてくれ。俺を……俺を、守ってくれ……本当の俺は、こんなに弱いんだ。もう、限界だよ。もう、君がいないと、壊れてしまう……! シャル!」
強く抱き締める。
「君は俺のものだ。君は俺のものだ。君は俺のものだ。ど、どこにもいかないよな? どこにもいかせない。ずっと俺の傍にい続けるんだ。お、俺の傍にいてくれ。出ないと俺はもう本当に壊れてしまう。き、君だけが、俺の最後の、命なんだ。君さえいれば、地獄でも、歩ける。君がいなかったら楽園さえ地獄になる。俺はもうシャルなしじゃ生きていけない……誇張じゃなく。本当にもう、シャルがいなきゃ正気じゃいられない。俺はもう、駄目になった。壊れてしまった。君という部品がないと、もう動けないんだよ。シャル。だから、ずっと俺の傍にいておくれ……いや、逃がさない。君は俺のものなんだ。君だけは、俺のものなんだ。俺の傍にいなくちゃ駄目なんだ。許さない。俺の傍からいなくなるのは許さない。愛してる。愛してる。愛してる。君がいなくなったら今度こそ俺は死ぬ。俺は死ぬ。だから、俺を生かしてくれ。ただ、生きて、傍にいてくれるだけでいいから。もう本当に、それ以上は、望まないから、神様、もう、俺から、何も奪わないでよぉ……」
シャルナに縋り付いて子供のように泣く玄咲。シャルナはただ優しく抱き締め、玄咲の前ではいつまでも変わらない天使の笑みを浮かべる。
「うん……私も、ずっと前から、そう。玄咲がいないと、壊れる。お揃い、だね……」
「ああ……本当に、弱さまで、お揃いで、俺たちは、二人で一人、なんだな……」
「う……ん。そう……だね……玄、咲」
「なんだ。シャル」
「痛い。もう限界。寝る……」
「……俺も、もう限界だ。疲れ切った。何もかもに、だから、今はもう、寝て何もかもから逃げてしまいたい」
「たまには、いいよ。そういうのも。ね、玄咲」
「なんだ。シャルナ」
「愛してる」
「俺もだ」
「キスして」
「ああ」
唇を重ね合わせる。
耐え難い痛みと、死ぬほどの疲労感と、もう二度と離せない、己の命そのものの安心感の中で、二人は眠りについた。
分かち合える安心感の中で二人は眠りについた。
もう二度と離せない安心感の中で、二人は眠りについた。
「痛い。疲れた。重い。もう、限界。寝る」
「……俺も、もう、限界だ。ずっと限界だった」
「ああ……どうしようもなく、弱さまで、同じだな。」
夜。夢を見た。しろの夢を。草原で走り回った。一緒にレースをした。泥んこになって途方に暮れた。仲間と一緒に笑い合った。未来を約束した。抱き締め合って眠った。大好きなジャーキーを買って帰ると約束した。
二度と会えなかった。雨の中探し回った。死体のしろと再会した。しろの肉を食わされた。しろは地獄に堕ちた。そして、トラウマがぶり返して発狂して、「うわぁアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアあああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
一人、暗闇の中、叫び続ける。シャルがいない。シャルがいない。シャルがいない。もうシャルがいないと何も耐えられない。死ぬほどの苦しみの中。
「わん!」
鳴き声が、聞こえた。しろの声。玄咲は即座に呼び返した
「しろ!」
返事がある。
「わんわん!」
「しろ! しろ!」
「げん、さく! わんわんわん!」
声のする方へ走る。段々と、声が大きくなってくる。そして、暗闇をひた走ったのち、光が見えてきて、思わず涙がこぼれて、光るしろに、そのまま駆け寄って
「しろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
「わふぅううううううううううううううううううううううううううううう!」
力の限り抱き締めた。白も抱き返してくる。生前と何ら変わらない感触。もふもふして、温かい、無邪気な感触。尻尾も降っている。耳もぴくぴくしている。何より、その顔に目玉がある。笑顔がある。玄咲の知ってるしろの顔。大好きな大好きな、しろの顔。もう、限界だった。
「しろ、しろ……お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「げん、さく。なく、だめ。わん、わん!」
「だって、しろが、しろが、ごめん、ごめんな。まもってやれなくて、ごめんな。じごくをあじわわせて、ごめんな。おれのちからがたりなくて、ごめんな。やくそくをまもれなくて、ごめんな。しあわせにしてやれなくて、ごめんな。ごめん。ごめん。ごめん。ごめんなぁ……!」
泣きながら、抱き締めながら、謝り続ける。しろは背中をポンポンとたたき返してくれる。気にするな、そう伝えているのだと、魂で分かった。でも、無理だった。
「しろ、俺も今からそっちに行くよ。今度こそ、君を幸せにするんだ。俺の全てをかけて、君を幸せにするんだ!」
「わっふぅ。ばうっ、ばうっ!」
「え?」
しろが怒った顔で玄咲の背後を指さす。振り返ると、遥か下方に、シャルナの姿があった。玄咲の姿も覆いかぶさって同時に見える。玄咲は理解した。
「ああ、これって、夢じゃなくて、死にかけてるのか」
「わうっ、わうっ! あっち、あっち!」
しろがシャルナを指さしながら言う。戻れと言っている。でも、しろと離れたくなかった。しろにしがみついて、言う。
「嫌だ。君も一緒だ。君も一緒にこっち側にくるんだ。でないと、絶対に戻らない……!」
「わっふぅ……きゅぅん……げん、さく」
しろが、玄咲の手を、肉球のついた手でつたなく固定する。そして、
「……ちゅ」
キスを、した。
「……し、ろ……」
「わふふ! げん、さく、すき! しろ、すき!」
「お、俺も、大好きだ! しろが、1生離れたくないって思うくらい、好きだ! だから――」
しろが少しだけ悲しそうに笑う。でも、すぐに、いつもの無邪気な笑みを浮かべて、もう一度顔を近づけて、見惚れる玄咲に――。
腕を、伸ばす。
「わ、ふ!」
ドン。
「あっ」
突き飛ばす。急速に落下していく視界。玄咲はしろに手を伸ばす。
「あ……しろ! しろ! やだ! いやだ! 俺は、君を、幸せにしてやりたかったんだ……!」
「じゅうぶん、しあわせっ!」
「えっ?」
「げんさく、しあわせ、しろ、まんぞく! あと、それだけ! じゃ、ね!」
「ッ!」
しろが、会いに来てくれた意味がようやく分かった。落ち込んでる玄咲を励ますために、しろは楽園から手を伸ばしに来てくれたのだ。しろが望むことなら玄咲はなんでも叶える。そのしろが、幸せになれといった。だから、その望みも叶える。だから、あらん限りの大声で、宣言する。
「っ! 分かったーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー! 俺は、君のために、幸せになる―――――――――――――――――――――――――!」
「わふっ、わふーーーーーーーーーーーーー! それでっ、いいっ!」
しろが笑顔で肉球グッドサインをする。玄咲は、ようやく心の底から、笑えた。泣きながらだが、笑えた。しろがどんどん遠ざかっていく。玄咲は生きてるときは言うこともできなかった別れの言葉をしろに告げる。
「しろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ! 俺はーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
「わふっ! わふーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
きっとこの生涯では最後の言葉になると直感した、最後の言葉を。
「しろのことが大好きだ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――------------------------------------------―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!」
「――しろもっ!」
しろが、泣き笑いながら、手を振って、告げる。
「しろもーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」
もう、声も届かない。それでも、その言葉が、心が、伝わる。最後、見えなくなる寸前、遠く手を振り続けるしろへ、告げる。
「ありがとう、しろ。きっと俺、もう大丈夫だ。まだつらいけど、それでも先に進むよ……!」
「――」
遠く、しろが口を動かす。たった3文字。聞こえないけど、聞く必要もなかった。
「大好き」
見間違う訳なかったから。心が、繋がっていたから。
「――俺もだ」
意識が覚醒する。
「……しろ?」
夜、玄咲は眼を覚ました。しろの姿はもうない。でも、胸の中にある。確かに、魔力が宿っている。しろの魔力が宿っている。感じる。間違いなかった。意識を、魔力に集中する。
魔力が、運動神経に転化される感覚。しろの特技。それが、使える。今までは感じなかった、使えなかった。夢で、いや、あの世で、しろが授けてくれた。もう間違いなかった。魂で正解だと断じれる。しろは本当に、別れのあいさつにきてくれたようだった。
「……シャルの、お陰でも、あるな。きっと、心に余裕ができたから、しろと繋がれたんだ。シャル、ありがとう。そして、しろ、ありがとう……さて」
玄咲はシャルをベッドに置いて一人立ち、窓際に向かった。そして、天に光る星に向かって、大声で叫んだ。
「しろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー! ありがとうーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
シャルナが跳ね起きる。寮の窓がいくつも空き、玄咲にうるさげな視線が注がれる。でも、玄咲は気にしない。あるがままの気持ちを、空に光る星に、しろに、ぶつける。
「愛してる―――――――――――――――――――――――――――――――――! 絶対、また会おうな―――――――――――――――――――――――――っ! 絶対、絶対今度は幸せにする―――――――――――――――――――――――――――――――――――っ! 約束だ―――――――――――――――――――――――――――――――――――っ!」
後悔もある。痛みもある。思うところはまだ全然ある。それでも、振り切るために、涙を流しながらも、笑顔で叫ぶ。そして、しろに宣誓する。
2度と、悲劇は生み出さないと。
「しろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー! この狂った世界は俺が破壊する―――――――――――――――――――――――――――――! もう二度と! 君のような子を産みださない! 生み出したくない! だから、俺がやる!」
スーッと息を吸い込んで、そして思いっきり大声で、
「エルロード聖国は、俺がぶっ潰す―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!」
満点の星空に宣言した。息をつきながら、シャルナを振り返り、笑顔を見せるシャルナに玄咲もまた笑顔で、
「俺はもう大丈夫だ。しろが、会いに来てくれたから」
「うん。私も見た。かわいい子だったね」
「ああ。そしていい子だった。死んでいい子ではなかった。……シャル。この世界を変える理由が、また一つ増えたよ。俺が絶対、成し遂げる」
「うん。頑張ろ」
「ああ。シャルのためにも。しろのためにも。そして――」
しろとの約束を思い出しながら、ふっと笑顔を漏らす。
「俺の幸せのためにも」
――夜空の一番星に、手を伸ばす。
「俺は、符闘会で、優勝する!」
プロローグ 地獄の詩
しろの食人中の様子を暗示する詩
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