第3話 ユウキ


「何を作っているんですか?」

「ん? 防具だよ」

 ユウキは顔を上げないまま、すぐ隣から問うてくる声に答えた。

「もしかして、また突っ切るつもりですか、あそこ」

「うん」

「なんで防具1つで耐えられるんですか、あんな灼熱地帯」

「なんでって言われても……」

「普通は無理ですよ、防具あったって」

「いや平気だよ、全然平気」

「……なんとなく、防具だけが理由なわけじゃない気がしてきました」

「ん? どういうこと?」

「……なんでもないです」

 防具を作りながら首を傾げたユウキは、ふと顔を上げた。

「作ってやろうか? まだ素材が余っているから」

「いえ、遠慮しておきます」

「遠慮なんていらんって」

「結構です」

 はっきりとした断りの言葉が可笑しくなったユウキは、思わず大きな笑い声を上げた。

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