第155話 ミニ祝福の宿題

「アンババ バンバンバンーー!アンババ ルーチールー!」

「ハーアバババ!」

「アンババ バンバンバーン! アンババ ルーチールー!」

「ハールチルルぅ!」


即興で踊った後、もう一度天フォンを確認した。メモリが一つ増えている。


「あ!アップしたよ!」

「本当!?」


ラピスお姉ちゃんが僕の天フォンを覗き込んでガン見した後、自分の天フォンを手に持った。


「ああ!私のもアップしてる!これは大変だわ!先生達に言って来ないと!」


ラピスお姉ちゃんが、僕とアンバー君の手を掴んで歩き出した。学校に報告に行くんだって。


その後、「検証のため」とかで、天使学校の先生達の前でもダンスをご披露した。必ず天力がアップする訳じゃないみたいだった。

なんとなく「もう疲れたな。」「もうやだな」って思った時は天力がアップしない気がした。


その後、ダンスのイベントが増えたんだ。僕達のダンスをご披露する場所が増えたので僕は嬉しかった。


僕とアンバー君のユニットは結構人気で、あちこちの集まりに呼ばれるんだ。だから新しい歌とかもいつも考える様にしているんだよ。


「アンバーくーん! 次の歌はちょっとゆっくり目にしてみようか?」


練習が終わった後にアンバー君に話しかけたら、アンバー君はポチポチと天タブを弄っているところだった。


「ルチル君、宿題終わってる?」

「え?宿題?」


宿題ってあれだよね。学校で先生が「やってきなさい」って言うやつだよね。


「宿題なんてあったっけ?」

「は〜。今日の午後に先生が言っていたよ。『ミニ祝福を授けてきましょうって。」

「ミニ祝福?」


ミニ祝福は、天力をほとんど使わない、祝福と言える程じゃない小さい祝福なんだって。それは学校で習ったの覚えているよ。

対象を褒めたり、何かお話して気付きを与えたりって感じで、天力を授けたりするわけじゃないものらしい。でも対象の所に行くのに天力を消耗するっていうから

説明だけを受けてて、「実践はいつか余剰天力が溜まったら。」って言われていたんだ。


「小動物にミニ祝福を授けてレポートを書くって先生が言っていたよ。」

「ええー? 行くのに天力を使うからダメって言ってたよね?」

「天力、ダンスと歌でちょっと回復したかららしいよ。」

「ええー?」


僕達が下級天使学校に入学した頃から、天界はずっと天力不足って言われていたんだ。だから、天力を使う実習は全然なかったんだけどなぁ。


「ダンスしたら宿題増えたの?」

「宿題は増えたけど、僕はミニ祝福できるのは嬉しいよ。」


アンバー君は天タブをタップして、対象の小動物の候補を検索しているらしい。

僕も腰にかけていた鞄から天タブを取り出してみてみた。画面に「宿題! ミニ祝福!」って、思いっきり表示されていた。


「わぁ。僕もやらないと。」

「近いところの小動物は早いもの勝ちだって。」

「ええー?」


天タブの検索画面を見たら、天界と繋がるゲートがある地上の小動物の一覧が表示されているんだけど、「済み」っていくつも書いてあった。


「え?同じ小動物はダメなの?」

「そうなんだと思うよ。」


どうやってチェックして表示しているのか不思議だなぁ。あ、でも、早くしないと候補の小動物がミニ祝福済みになっちゃう。


「まだミニ祝福済みじゃない小動物を見つけて、飛んで行けばいいんだよね。」

「ルチル君。相性とかあるらしいよ。あ、僕、この子にしようかな。」


チラリと、アンバー君の天タブを除くと、白いまだら模様のネズミが映っていた。

検索したところから、シロマダラネズミを選択する。メニューで「ミニ祝福」を選ぶと、「よろしいですか?」って表示された。


「じゃあ、僕行ってくるね。」

「あ、うん。気をつけて。」

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