第1章 圭
第2話 気持ちは半分異世界です
思えば、僕の気持ちはずっと前から半分異世界に向かっていた。
僕はの名前は香住圭。14歳。中学2年生だ。
趣味は「異世界ガイドノート」を作る事。
異世界へ行くパターンは色々ある。まずは、どこかの王国からの召還。国が勇者や聖女を呼び寄せる為に召還するパターンだ。個人を呼び寄せる場合と、クラス転移みたいに集団を呼び寄せる場合がある。
大抵は「王国の危機」というやつだ。
魔王が現れて国を脅かしているから何とかして欲しいとか。瘴気というやつに国が蝕まれているから助けて欲しいとか。
そう言いながら、単純に戦闘力だとか労働力だとかで使ってやろうっていうケースも多い。
クラス転移だと、大勢いるから即戦力になりそうな優秀な人とそうでない人の差がでちゃったりね。戦力にならないって追放されたり、追放された人が実は一番強かったりなんていうのも定番だ。
その他にある日、異世界に不意に迷い込んじゃったり、何かの穴に落ちたら胃世界だったりという転移のパターンもある。
そう言う場合、現地の人達から「落ち人」とか「渡り人」とか呼ばれたりするんだよね。
そして転生。気がついたら胃世界で赤ちゃんになってました、とか。死んだら白い空間で神様っぽい人にあって、なんやかんや言われてスキルとか貰って
記憶を持ったまま異世界に転生するパターン。赤ちゃんからの場合もあるし、子供からだとか、少し若返って見た目は本人のままだったりとか。
色々なパターンがあるけれど、多くの場合は何らかの魔法(!)だったりスキルが得られたりするんだ。
そう、魔法!憧れるんだ〜。
でも、異世界に行っても魔法が使えない場合もある。
多くの異世界の文明レベルは中世ヨーロッパ位で、魔法が使える使えないに限らず現代知識を持っているとそれが身を助けたりすることがある。
マヨネーズだとかボードゲームだとかで一攫千金とかね。
中には物語の中とかに転生して、ストーリーの知識を有効活用したり、ストーリーに抗ったりということもあるけれど。
もしも僕が異世界に行くということになった場合を考えた場合、物語やゲームの世界かどうかなんて予想不可能なんだから、あらかじめ準備出来る事って言ったら
知識くらいしかないんだよね。
たまに物を持って行ける場合もあるみたいだけど、それだって予想できることじゃないからさ。
なので、転移でも転生でも役に立つかも知れない知識を学校の図書室の本だったりネットだったりで調べてノートにまとめているんだ。
それが「異世界ガイドノート」!
マヨネーズを始めとする色々なレシピや味噌とか醤油とかの作り方など食べ物関係から、セメントや井戸のポンプ、石鹸、紙の作り方。役に立ちそうな事を片っ端から調べてノートにまとめて、そして何度も読んで覚える。
ノートを持って行けるかはわからないからね。
もしも僕が異世界に行ったとして、そこが文明的にとても不便な場所だったら、生活しやすいように、色々な知識を使って可能な限り改善したいと思うんだ。
現代知識をばらまいたりしたら、その世界の文明の発展の流れを壊しちゃうかもしれないって、思うかもしれないけどね。
そんな事気にしなくていいと思うんだ。だって、現代日本から異世界へなんてこと、普通人間の力ではできないことでしょう?神様が力を貸したり認めたりした事だと思うんだよね。
だから、文明の流れを壊したりしてもそれは神様も承認済みの事だと思うんだ。
そもそも、その世界に影響を与えないようにして過ごさなきゃいけないなら、わざわざ異世界間で召還やら魂のやりとりなんてする必要ないんだから。
なので、自分達が過ごしやすいように物造りでもなんでもして,それでいて異世界の良い部分も取り入れて、楽しめばいいと思うんだよね。その世界を。
‥‥‥というようなことを、クラスメイトの柏木悠宇と従兄弟でクラスメイトでもある永見瑛太に熱く語ったらちょっと引かれた。
「‥‥厨二病かよ?」
瑛太は、はぁ〜と露骨に溜め息をついた。悠宇はクククと笑いをこらえるような顔をしている。
「中二だし?」
「開き直るな!すげー熱心に試験勉強してるなと思ったら、そんなことしてたのかよ。伯母さんにチクるぞ。」
「母さんは聞いても気にしないと思うよ。」
「伯母さんに何にも言われないのか?」
「うん、特には?」
「そうかよ‥‥。」
瑛太は納得いかないような顔をしてまた溜め息をついた。
でも、そうなんだよ。母さんは、何か言う訳ないから。
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