尽くす

坂本瞳子

第1話 プロローグ

私は今日もこうして書斎で粛々と執筆をしている。義母との約束はまだ果たせていない。

藤堂の家に嫁いでから二年が経とうとしている。義母からとにかく健やかな跡取りを産んで欲しいと言われ、一人息子の貴一さんと結婚することになった。皆様には、まず、私が藤堂家に嫁いだ経緯について説明する必要があるだろう。

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