17話 集まっていた家族
おじい様の寝室へ向かうと、扉をノックした。
すると少しの間の後に扉が開かれ、レオナルドが姿を現した。
「! レティ‥‥‥! 何故ここに!?」
余程驚いたのか、レオナルドが目を見開く。
「レオナルド様に用事があって、訪ねたのですが……出迎えてくれたフットマンからおじい様が昨晩、倒れられたと聞きました。おじい様は無事なのですか!?」
「大丈夫。落ち着くんだ、レティ。おじい様は大丈夫だ。中に入ってくれ」
「はい、失礼します」
室内に入ると、ベッドの上で起き上がっている祖父の姿があった。傍らには祖母もいる。
「おじい様、おばあ様、レティがお見舞いに来てくれました」
レオナルドが声をかけると、2人はこちらを振り向いた。
「レティ……!」
「まぁ、レティ。来てくれたのね?」
「おじい様! 大丈夫なのですか!?」
足早にベッドに近付き、跪いた。
「あぁ、見ての通り大丈夫だ。何ともないだろう?」
「ですが、昨晩倒れたって……」
私の言葉に一瞬祖父母は視線を合わせ、祖父が話しかけてきた。
「倒れたと言っても、ほんのちょっと目眩がしただけだ。 そうだよな? カトレア」
「ええ、そうよ。レティ、だけど使用人達が大げさに騒いだだけなのよ。だから心配することは何も無いわ」
「で、ですが……」
本当にただの目眩だったのだろうか? 祖父母は私を心配させまいとして嘘をついているのでは……?
私は助けを求めるべく、少し離れたところに立っているレオナルドを見つめる。すると、少し困った素振りを見せてレオナルドは肩を上げた。
今のは一体……どういう意味なのだろう?
「そんなことよりもレティ」
祖父に呼びかけられて振り向く。
「はい、おじい様」
「もう日が暮れてしまったのに、ひょっとして自転車で来たのか?」
「はい、そうですけど……」
「何だって!?」
するとレオナルドが驚きの声をあげて、近づいて来た。
「いくら自転車だからと言っても暗い道を走るのは危ないじゃないか。この屋敷に続く道は途中、うっそうと茂った木々の道を通り抜けなけれなばならないのに」
「レオナルド様…‥‥」
「とにかく‥‥‥危ない真似は、もうやめてくれ。日が暮れてから来る場合は、信頼のおける辻馬車を使うようにしてくれないか?」
レオナルドがとても私を心配してくれていることが良く分かった。
「はい……心配をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした。もう今日みたいな真似は二度としません」
「ああ、そうだ。我々も心配だからな」
「レオナルドの言う通りよ?」
「おじい様……おばあ様……分かりました」
「ところでレティ、ここへ来たのは本当に私の見舞いだったのか? 誰かに私のことを聞いたのか?」
祖父が尋ねてきた。
「いいえ……本当は、レオナルド様に……用があって……」
チラリと背後にいるレオナルドを見る。
「そう、なら2人だけで話してきなさいよ。私たちなら大丈夫だから」
「ああ、そうだな。それがいい。レオナルド、レティを連れて行ってくれ」
「はい、分かりました。レティ、一度部屋を出よう」
レオナルドが祖父母に促され、私に声をかけてきた。
「はい」
小さく頷き、私はレオナルドと共に部屋を後にした――
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