その3 旅立ち
「ここにもシルヴィお姉ちゃんはいないのかな・・・、
どこへ行っちゃったんだろう・・・」
ぼんやりとつぶやくレナード少年は、
ごく普通の食堂で昼食を摂っている。
住居を兼ねているらしく、二階建てだが
上に行く階段は店の置くに備わっていた。
時間が少し早いためか店の客はそう多くなく、
店内を歩き回っているのは店員の女性くらいである。
「あの時、僕がお姉ちゃんの秘密に気付かなかったら・・・、
もしかしたらあんなことにならなかったかもしれないのに」
既に数えきれないほど繰り返した嘆きを呟きながら、
レナードは食事を終える。
あれから自分のしてしまったことを理解し、
シルヴィアの失踪は自分に原因があると考えるようになっていた。
「もしも僕が、大きなおっぱいの女性は
みんなから恐がられる存在だってことを知っていたら、
もっと気を付けることができたのかな・・・」
レナードがつぶやいた通り、
この世界では巨乳の女性は人々から恐れられ、
時には迫害・追放なども平気でされている。
はるか昔、この世界には魔王と呼べる存在がおり、
人々の平和を脅かしていた。
その魔王は女性の姿をしており、
とても大きな『おっぱい』を携えていたそうだ。
これを女神から特別な力を分け与えられた
『勇者』と呼ばれる存在によって退治され、
平和な世界が訪れる。
そして魔王が倒されて以来、
胸の大きな女性が生まれることはなくなる。
しかし、本当にごくまれだが、
極端に胸が成長してしまう女性も生まれてしまうことがあったのだ・・・。
「もう少し探してみたら、別の町に行ってみようかなあ・・・、
また旅支度をしないと」
思考と独り言が続いていたレナードだが
突如として聞こえてくる大きな声に思わず気を取られる。
「こ、この野郎! 俺を騙していやがったな! 恥知らずめ!」
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