夢を見ていた



両手ほどの空を君と

抱きしめていた

そんな夢を見ていた


雲に流せばまるで

灯籠流しのように

きらめく星の残骸が

嘲笑う



両手ほどの海を君と

泳ぎ続ける

そんな夢を見ていた


溺れる人を尻目に

進み続けた道の最果て

世界の断崖が待つ

僕らの断罪



両手ほどの宇宙を君と

旅を続ける

そんな夢を見ていた



無音の風が頬撫でて

祝福と呪詛が紙一重で

想い出を愛撫する

超新星爆発の瞬間に



両手広げた空の向こう側で

まるで君によく似た君が

手を振って笑う

そんな悪夢の入り口で迷っていた



今 君がスプーン一杯分の幸福を

味わっている瞬間を知っていても

崩壊した楽園の破片をなぞる

そんな夢を見ていた



骨となってなお

冷たい陽炎の中で

微笑む君を抱きしめる

そんな夢を見ていた



痛覚を忘れてなお

ただ一人で

星を探し続ける

そんな夢を見ていた



両手ほどの空を

君と飛び続けていた

神話の時代のそんな夢を見ていた



そんな夢を

見ていた


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