裏19節 人魔退治

 今回も戦わない、そうすればルナの時みたいに僕に敵意がないのが、わかってくれるはずだ。…… きっとそうだよ。

『我にはやつが、操られているように見えるがな。…… まぁ良い、お前に任せよう。治癒と強化はする、だが奴は我らを殺す気らしい…… 大丈夫か』

 僕には桃華が何を考えているのか、彼女の感情などはさっぱりわからない。けど…… 戦うなんて間違ってる。僕では、桃華に向き合うことはできない、だからせめて敵じゃないことを教えてあげたい。

 右手の光を抑え、桃華に呼びかける、敵意がないことを。

 —— うっ、かあっはっ

 胸に紫の刃が突き立てられた。赤い液体が流れ落ち、飛び散り、リョウは心臓を貫かれ、彼の息は絶えた。

「そ、そんな……………… リョウ! リョウ、守れなかった…… 私は、私は、私は、私は」

「おにいちゃん………… ごめんね…… ごめんね ………………アタシは、私は、アタ……なんてこと…… うう」


「きゃあああああっああああ—— 」

翌日、登校してきたナオトリンが見たのは赤い海に転がる三つの体だった。



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