第1102話 ロナスさんへ報告

『いやー!あのキャッスルクラブが脱皮ってか!珍しいもの見れたな!俺も見たかったぜ』

「いやー、なかなかの迫力でしたー」


殻集めが終わったので一旦休憩。

イサマさんと松木官房長官はそのまま近くのホテルに移動して会談するとのこと。

立川さんは日本ギルドと最寄りの神奈川ギルドに連絡しに行っています。

俺はキャッスルクラブの所有者になる予定のロナスさんにメールを送ったところ。

ロナスさんに脱皮したってメールで報告したら即電話がかかってきたのでびっくり。


『殻はお前が持つといい。というか、まだ調印はしたが正式に受領証明は出てないからな。ま、この前の資料代ってことで』

「あ、そういうことですか。ならこっちで回収しちゃって保管しておきますね」

『おう、よろしくな。あ、使う予定がないなら少し分けて欲しいな。ウチの大統領府用とそこの領事館用のハムサを作りたくてな。キャッスルクラブの殻で作ったらご利益ありそうだし』

「……ハムサ?まぁ、それなら大丈夫ですよ。多分100トンは優にあるので」

『……思ったより量あるな。けど、あの大きさならそのくらい出るか?』


まぁ、城一個分ですし。

何なら城の中も結構砕けてた。

エントランス部分や大広間、食堂辺り。

ざっと見た感じ1階部分が拡大された感じですね。

……若干大きくなったのも脱皮のせいかな?


「細々とした粉末状のやつは……手伝ってくれた方々に配ろうかなって。あ、バビロニスタンのご好意って言っときます?」

『いいっていいって。お前の手柄にしとけって。にしても、アレ仮死状態かなんかだったろ?その状態のまま脱皮とか出来るんだな』

「あー……それはですねー……」


俺は電話をしながらキャッスルクラブを見る。


ブクククククク……ピシュー


「……目覚めちゃいました」

『ブッ!……ゲホッゲホッ、み、水が。め、目覚めただと?!お前、仮死状態にしてたんじゃなかったのか?!』

「いやー、どうもアイテムバッグの中で俺の魔力を吸ってたみたいで……魔力を一定量摂取したから成長したから脱皮したみたいで」


うん、仮死状態とはいえ生きた生物をアイテムバッグに入れたの初めてだから知らなかったよね。

キャッスルクラブが起きてたと気づいたのは1番でかい殻が取れた時。

カニの頭に落ちて目がグリッ!て動いたから皆飛び上がったよね。

ほんと、温厚なモンスターで助かった……

今は足を伸ばして水魔法で殻が剥けたところを洗浄してます。

……魔法、普通に使えてるやん。

流石モンスター、強い。


「いやー……翻訳魔法ブッパしてみましたけどちゃんと意思疎通出来ましたよ。言葉はたどたどしいですけど」

『……翻訳魔法はモンスターには効かないって話だったが、キャッスルクラブの古代種となると亜人クラスって訳か……まてよ?なら、俺の先祖、バビロニアの話とか聞けるかもしれねぇじゃねぇか!よし!明日そっちに向かうぞ!飛行機の手配を!』

「へ?!向かう?!日本に来るんですか?」

『おう!元々年末年始は飲み明かすぐらいしかやることがなかったからな!今から飛行機を手配して……いや、ポータルを使った方が早いな。場所教えてくれ!すぐにむか……』


ゴンッ!


『……申し訳ないです、タジマさん。ウチの大統領が後先考えず……』

「あ、バンドさん。ご無沙汰してますー。大丈夫でーす……」


鈍い音がしたと思ったらバンドさんの声が。

……さっきの音はロナスさんが殴られたやつか。

南無南無。





ちなみに、ハムサとは中東のお守りみたいなものらしい。

俺も記念にひとつ欲しいなー。

作って貰えないか後で聞いてみよ。

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