第999話 おやつは味付け玉子

「おなかすいたー」

「ぐー」

「……と言ってますけどどう思います?エクスさん」

「……キッチンあるからお前が作れよ。食材あるだろ?」


……くっ、エクスが冷たい。

キラホープに乗ってバビューンと帰国中です。

機内は自由に動けるのでみんな各々活動中。

ただし、俺が来た時と違うのは職員さんがいません……

まぁ、行きはVIP待遇だったって事で。

一応日本ギルドの人はいるからある程度は大丈夫なんだけどね。

ギルドの人、聞いたら妖狐の人達だったよ。

陰陽師のグループにも所属しているってさ。

葛葉さんの家系らしいから子沢山だよねー。

さすが数千年生きてる妖狐。

エクスが分身して驚いたのは風花さんとイマニーさんだけだったしね。


さて、話を戻して子どもたちがお腹を空かせている状況。

日本まではあと1時間ちょっと……

もう少し待ってって言うのもありだけど小腹は満たしたいよねー。


「あらたー。アレ出したら?この前ダンジョンに行く前に作り置きしてたヤツ」

「アレ?……あぁ!あれか。結局すぐ帰ってこれたから食べてなかったねー。どこに置いてたかなー」

「お?田島さんのご飯ですか?!期待!」

「……なんで風花さんがテンション上がってるんですか。てかどこから?!大人は後で!」

「ちぇー」


全く……他の方達は帰国後の記者会見の資料を読んでるのに風花さんはこっちで遊んでていいのかね。

てか、エクスについてゴーレムの亜人ってざっくり説明したら納得してくれたのはいいけど馴染むの早いな。

あ、それは俺もか。

……俺の場合は神ングアウトだったけども。

……一旦それは置いておいて、まずは子どもたちに食べてもらわないと。

アイテムバッグをゴソゴソと……

お、これこれー。


「ばばーん。ブルーバードの管理人さんから貰った卵で作った味玉!一晩漬けたヤツをアイテムバッグに入れて保存してたんだよねー。いやー時間経過しないって素晴らしいね」

「わーい!たまごー!」

「たまー」


「……ブルーバード?あぁ、上司が嬉々として飛んで行ったところか。確か若いパラダイスレインボーバードが上がってきたとか何とか……まさか?」

「お!麻薬たまご!にしては具材が少ない?……あ、なんか予想出来た」

「いやー、話には聞いてたけど大きさがダチョウほどじゃなくて良かったですよー。L玉より一回り大きいぐらいで。タッパーにも4つ入りましたし。うちの味たまはシンプルな味付けなんです」

「せやねー。ほい、ちりちゃん。パラダイスレインボーバードの無精卵で作った味玉だよー。いやー、アメリカに半熟卵用の温度計がなくて焦ったよー」


ブルーバードの管理人にしてサンダーバードの亜人ポールさんから貰った卵。

最初、さすがにナマモノだからどーしようって悩んで全部食べようとしたのは内緒。

デスバレーに行くことになった時におやつ代わりに持っていくかーってことでサクッと作ったんだよねー。

麻薬たまごも考えたけどいつも食べてるめんつゆにネギとごまを入れたヤツにつけるだけにしてます。

卵、そのまま食べても美味しそうだったから素材の味を活かしたかったんだよなー。

あと作り慣れてるからサクッとできるし。

一応作った時に味見したけどトロッとした黄身と麺つゆの風味がマッチしてとても美味でした。

コレを熱々のご飯に乗せて食べたいですな。


「うまー!たまごおいしー!とろとろだー」

「もぐもぐー」

「……田島さん」

「はいはい、風花さんにもあげますよー。他のメンバーの方も呼んでください。一応ギルドの職員さんの分までありますから」

「はーい」

「……お前、一体何個作ったんだよ」


とりまおやつ用に70個?

いやー、ポールさんが120個渡してきたからこれでも必死こいて食べたんだぞー?

まだ残ってるしな!

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