第373話 あ、余裕でしたにゃ

「そもそもリキッドメタルキャットは液体金属の身体を持つ猫ですにゃ。あの女性が寝る一瞬のスキをついてこっそり分身体を染み込ませて起きましたにゃ。あとは帰還した後に追いかけて情報収集する予定でしたにゃ……」


おりんさんがウルタールから帰還して遅れて分身体を追いかけて地上に向かったフェリダーさん。

分身体の体に滑り込ませたところで大変なことに気づいたそう。


「この世界のヒトは思っていた以上に魔力耐性がなかったんですにゃ!本来リキッドメタルキャットが取り憑いた場合、隠密性が高いのでシミとか出ないはずでしたにゃ……」

「あ、そういえばおりんさんの報告で腕にシミが拡がっていったって……あれ、フェリダーさんがおりんさんの身体に入った時のやつだったんですね」

「確かにのぉ……人の身体は自分が思っている以上にもろい。特に魔力に関しては今まで触れてきてなかったせいか如実に表れるからな」

「白沢殿も分かりますかにゃ!まさかあんなにシミが広がるとは思ってなかったですにゃ!魔力も限界まで抑えていたのに初めての経験でビクビクでしたにゃ」


そこから先の話は俺が南阿蘇さんから聞いた話とほぼ同じ。

腕を切り落として丸ごと蔵を封印したってところ。

フェリダーさんも封印される経験がなくて驚いたって。

内側から魔法を打っても吸収されるし、何なら吸収した魔力を元にさらに結界が強くなるしで手も足も出なかったそう。


「流石に命尽きるまでこの暗い箱の中で過ごすのか……そう思っておりましたにゃ……けど2年後、結界を貼り直しに来た奴が最初の女性より全然弱くて、術式も間違えておりましたにゃ。何なら床側の結界を再度強化することを忘れておりましたにゃ!これはチャンスと思い床下を掘りまくっておったらダンジョンとぶつかりましてにゃー、そこから脱出出来たという訳ですにゃ!」


……おいー!ギルドの陰陽師!力がないって聞いてたけどどんだけだよ!

普通に戦犯ものじゃないか!

結界がまともに機能してなかったってことでしょ?!

しっかりしてくれよー……



てか、家の地下にダンジョンあるんかーい!

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