第370話 気にしない!……気にしない!?
「え?ティム君?なんて?」
「いや、あの猫、深淵のモンスターですよね?魔力隠してますけど」
「え?ただの猫じゃんー。こっちおいでー」
ゴン太が呼ぶとトコトコ歩いて手の中に乗ってきた。
うん、やっぱ子猫可愛い。
じゃなくて!
この子猫が深淵のモンスター?!
そんなことある?!
だってあんだけ厳重に封印されてるんでしょ?!
「そういえば若干魔力の流れを感じておったがこの猫だったか。てっきり神々の使い魔が周りに隠れておるのかと思っとったが」
「私達は逆にロクが妖精を連れてきてるのかと思っていました。妖精は悪い気に敏感だから邪な考えを持つやつを近づけないように的な」
「いやいや、流石に知り合いの家でも黙って妖精は連れてきませんって。私はランファが新薬で結界を張ってるもんだと思ってた」
つまり、神獣、神様たちはなにか魔力の違和感は感じてたけどお互いに秘密裏に使役してるやつだと思って指摘してなかったと。
……そういうのは家主の俺に相談とかしてくれよなー。
と言うより猫がそんな魔力を持ってるなんてよくわかったねティム君。
薬師やってるだけあって魔力を持つ薬草を見分ける力が強いんだねー。
「……って現実逃避してる場合じゃない!マジで深淵のモンスターならギルドに報告しなきゃ!」
「まぁまぁ落ち着け落ち着け」
「そうそう。もう夜遅いし」
「そ、そんなに危害を与えるようには見えませんよ」
「そもそもここで暴れても一切手出しできないでしょ」
「「「「「そりゃそうだ!カンパーイ!」」」」」
ノーテンキな……
なんでこの状況で飲めるねん……
そもそもこの家を買う条件があの蔵の封印についてなんだけど!
封印が破れてるなら意味が無いんですが?!
「まぁまぁ、御館様。落ち着きましょうや」
「……そうだね。一旦ジュースでも飲んで落ち着くか……って、え?!」
「ん、ジュースを飲むなら自分はミルクが欲しいですにゃ。後有ればでいいのでにゅーるとかも欲しいですにゃ」
ゴン太の手の中から子猫が俺を見て手を上げる。
……子猫が喋っとる!?
――――――――
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