第279話 なんか違和感

「配信で見かけた『大樹龍の瞳』、どうしても持ち帰らねば!タジマさんも探すのを手伝ってください!」

「お、おう……」

「イミウルも手伝う!」


イミウル君は倉庫の奥、サヒーリ王女はモンスターの素材の山、俺とティム君は入口側の素材の山を探すことになった。

素材の山、と言っても一応は種類ごとに分けられてるんだけどね。

スマホで『大樹龍の瞳』を見せてもらったけど、The目玉って形のやつだったよ。

瞳だから仕方ないけど!


「(旦那……あの王女様、なんかおかしくないです?えらい瞳に執着してるような……)」

「(あ、ティム君もそう思う?俺もそこが違和感あってね……呪いとかにかかってない?)」

「(なにか取りつかれてたら精霊が反応すると思います。精霊は契約で主を決めたら守り抜くはずです。自分もちょっと魔法を使って調べてみましたけど特に呪いや幻覚を見てる感じはなかったです)」

「(そうなんだ……なおのこと謎だよねー)」


ティム君とヒソヒソ話しながら王女を見る。

日本に来てからの王女しか知らないから分からないけど明らかに『大樹龍の瞳』に執着してる。

何か隠してたりするのかな?


「(もしかして、壊しちゃったとかですか?遊んでてボールが当たって砕けたとか?親にバレる前に新しいやつに取り換えたいとか)」

「(そんな子どもじゃないんだから……まだ探索者としてランクアップしようとして触ったらヒビが入った、とかなら納得できるね)」

「(……けど旦那は前やったらしいじゃないですか。親方から聞きましたよー)」

「(やめろ、ティム君。その話は俺に効く)」


あの話はしたくないんです!

本当に若気の至りだったんだから……

とりあえず何かしら隠してそうだから見つけても黙っていよう、とティム君と決めた。

ティム君曰く、『大樹龍の瞳』って単体だとただのオブジェにしかならない素材らしい。

なんで知ってるのかと言うと、北欧だと結構ポピュラーなモンスターだそう。

恐らく弱肉強食の世界から逃げ出した1匹が海を越えて太平洋まで逃げてそこで神格化したんじゃないか、とのこと。

……そんな巨体のドラゴンが複数いてたまるか!と思うのは俺だけかなー?


そもそもこの倉庫に『大樹龍の瞳』があるとは思えないんだよねー。

俺、そんなでかいドラゴン倒した記憶ないし。

トミーが倒して置いているのかもしれないけど、それなら武具に使える鱗や棘があってもよさそうだもんな。

島を飲み込むドラゴンなんだから鱗の大きさも人サイズだろうしね。

多分他のモンスターの素材を見間違えたか、大粒の宝石な気がするよ、俺。


「サヒーリさーん。こっちにはなさそうですー。そっちはどうですかー?」

「……そうですね。イミウル、そっちは?」

「とくにないよー」

「落ち込んでるところ申し訳ないんですがー、流石にダンジョンに入って6時間を超えそうなので一旦帰りましょうー」


流石に高校生を深夜まで外に出すのは頂けないからね。

サクッと帰ってサッと寝ましょうー。

どうしたもんか。





――――――――――

閲覧ありがとうございます!


そういえば、三連休は熊本のイラストレーターさんたちの展示会に行ってきました。

学生時代、イラストも描いていたので懐かしい気持ちになりました。


今度また書いてみようかなー。




星、ハート、コメントよろしくお願いします!

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