第178話 連行(福岡)

「で?帰ってきた、と」

「……はい、何とか無事に……」


みんな怪我無く帰ってきました!

あ、そういうことじゃない?すみません……


ここは博多ダンジョンの受付奥にある応接室。

目の前にいるのは赤毛の女性。

前、買い取りで熊本に来てた桂川さんだ。

帰還ポータルで下層から戻ってきたら受付で拘束されて連行されました。

カメラオンにして潜っていたけど、世界配信ではなくギルド内に配信されてたそうで、見ていた職員から桂川さんに連絡が来たそう。


「買い取り部門から博多ダンジョン統括本部に異動になったとたんこんなことが起きるなんて……」

「ほら、今日は他人には迷惑をかけてないので」

「新しいショートカットを見つけておいて迷惑をかけてないと?」


……すみません。

ほらショートカットはギルドの収益につながるから(震え声)


「……ショートカットがあの位置にあるとは考えてもいませんでした。感謝しきりです。とりあえず今日取ってきた素材は売却希望であれば受付に持って行ってください。あと『薬神の1錠』等についてはギルドとしてもグレーゾーンなので見なかったこととします」

「ありがとうございます!」


ダンジョン内での受け渡し、しかもその場で飲んでるからね。

譲渡ではないから法律違反してないので拘束される理由はないからね!

他にも魔力欠乏症の方に申し訳ないと思わないのか!と言われるかもしれないけどその時は一緒に潜ればいいしね。


「その代わり、と言ってはなんですが。今回持ち帰ったエーテル各種を頂けますか?あとエーテルの採取方法について詳しく教えてください。ギルドとしてもポーション、エーテル系の安定供給は必須ですからね。報酬は別でお支払いさせていただきます」

「そう言うことであれば!ただ俺も又聞きなので詳しくは今度メールしますね」

「ありがとうございます!では買取についての案内を……」


ミミックを使ったエーテルの作り方なんて思い付かないよね。

とりあえずそのまま留置場に、とかにならなくてよかった。




「田島さん!大丈夫でした?」

「私たちのせいで……」

「あらた。また怒られた?」


桂川さんと1時間ほど話し合いをした後、応接室から出て受付に戻ると3人が待ってた。

ゆり、俺がいつも怒られてると思ってるな。

今日はそこまで怒られてないから、呆れられただけだから!


「心配してもらって申し訳ないです。全然問題なかったので。あ、エーテルについてはギルドに渡すことになりましたので申し訳ないです」

「そんな!全然大丈夫ですよ!」

「そもそも魔力も戻ったし、いいことの方が多いんですから」

「そう言って貰えると助かります」


マコさん、本当に元気そうでよかった。

ゆりもお疲れさまでした。



ちなみにアニーの家に預けてた子どもたちは元気に過ごしてたようで、なぜかTRPGと格ゲーにはまってた。

……ちりちゃん、パパはアンドリュー本村じゃないからハリケーンツッパリとか出来ません。



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