第13話 おにーんにん♪(おにーにん♪)おにーにん♪(おにーにん♪)ちんーこのでーかいー♪ けももんっ!(けももんっ!

「おにーんにん♪(おにーにん♪)おにーにん♪(おにーにん♪)ちんーこのでーかいー♪ けももんっ!(けももんっ!)」


 あたしは手拍子混じりでスキップしながらダンジョンを潜っていた。

 例のインキュバスきゅんが最後にいたのは40層だった。


 どうやったのかは知らないけど、レベル100クラスの死体繰りネクロマンサーを撃退したようだ。

 かわゆくて、強くて、デカい。

 ああ、あんな子にめちゃくちゃにされたらどうなっちゃうんだろう。


 高いDPを支払って取り付けたあたしのおにんにんが膨らむ。

 先っちょから透明な汁が垂れる。


 口に突っ込んだら、歯を立ててくれるかな?

 それとも逆に吸いつかれちゃうのかな?

 喉奥がヤスリみたいになってたりして。

 うふふ、スリリングだなあ。


【おひさけもん♪】

【こんにちけもん♪】

【こんにちけもん♪】


 あら、コメントが流れてきた。

 カメラドローンが3機、周りを飛び、空中を文字が走っていく。

 いつの間にか配信がはじまっていたらしい。


「おひさけもーん! 1年ぶりなのに来てくれてうれしいけもん♪」

【1年も経ったのかあ】

【アーカイブ毎日見てたよ~】

【アメリカじゃ何してたの?】


 さっそくコメントが流れていく。

 スパチャもちらほらだ。

 ただ、あたしはスパチャを特別扱いしない。

 無理にDP使いすぎて視聴者さんが干からびちゃったらたいへんだし。


「アメリカじゃね、ドラゴンにめちゃくちゃにされてきたけもん♪」

【詳しく】

【字面でもうヤバイけもんw】

【DL販売きぼんぬ】


 コメントを拾いながら、アメリカ滞在中の思い出をあれこれ話す。

 何と言っても一番はエンパイア・ステート・ドラゴンに貫かれたことだけれども、それ以外にもお話することはたくさんあった。


【尻尾変えた?】

【毛皮の色も変わったね】

【増えた耳かわいい♡】


 こちらから話題を振る前に気づいてくれた。

 ファンのコメントはうれしいな。

 同接数も順調に伸びてる。


「尻尾はねえ、メイキュウアナコンダに変えてみたけもん♪ ひんやりつるつるな感触がたまらないけもん♪」


 カメラドローンに向かって長い尻尾を振って見せる。

 フロリダの密林ダンジョンで手に入れたのだ。

 丸呑みされながら二股のおにんにんで貫かれるのはエキサイティングだった。


「毛皮はねえ、シロクマさんに張り替えてみたけもん♪ ふわふわであったかいけもん♪」


 なかなかドラゴンに遭遇できなくて、羽根を伸ばしにサンフランシスコに観光に行ったときの戦利品だ。

 アルカトラズ島まで泳いで渡ってみようとしたら、勢い余ってアラスカにいた。

 そこでばったりシロクマさんに出会ってしまったのだ。

 あのもふもふなのにごわごわで、筋肉質で乱暴な腰使い。

 地上の生き物も悪くないな、って思った。


「耳は7つ増やしてみたけもん♪ ぜんぶかわいいけど、一番のオキニはこの耳だけもん♪ アーベルトリスって言って、アメリカじゃそこらじゅうにいるリスだけもん♪」


 3つあるリス耳をぴくぴく動かしてみせる。

 これ、けっこう難しいんだよね。

 新しい器官を増やしたときは、慣れるまでどうしても時間がかかる。


【けもんー! うしろうしろ!】


 背後から衝撃。

 しまった、配信に夢中になりすぎた。

 深く、深く、貫かれる。

 熱い、熱い、太くて硬い。

 これは――


「んにゃぁぁぁあああ♡ ケンタウロスさんだけもん♡♡♡」

【出会って5秒で獣姦(受け)】

【やりやがった……やりやがったな!】

【やられてるんだけもんwww】

【俺たちのけもんが帰ってきた!!】

「んほぉぉおおおおお♡♡♡」


 私の絶叫に、次々のモンスターが集まってくる。

 オーク。おにんにんがドリルな種族だ。

 ゴブリン。ちっこいけれどしつこくでタフネスな種族だ。

 ミノタウロス。乱暴そうに見えて、意外に紳士的な種族だ。


 ああ、来て、来て、来て。

 もっと来て。


「リスナーさんたちにも来て欲しいけもぉぉぉおおおん♡♡♡」

【おっと、緊急オフだな】

【野良パ組むぞー】

【浅層だし現地集合でよかんべ】


 うれしい、うれしい。

 みんな来てくれる。


 もっと、もっと、もっと激しく、もっとたくさん、あたしを愛して。

 何かすることがあった気がするけど、いまはこの快楽に溺れよう。


 * * *


「ヴォーさん、なんかあそこ、たいへんなことになってるよ?」

「あ、ああ、そうだな」


 アルプに言われるまでもなく、当然気がついている。

 めちゃくちゃに身体改造を施した配信者の女(?)が、無数のモンスターと配信者に囲まれて、なんというか……その……めちゃくちゃにされていた。

 百歩は離れているのに、生臭い臭いと熱気が伝わってくる。


「関わらない方がいいやつだ。迂回するぞ」

「ボクもそんな気がしてた!」


 インキュバス男性型淫魔であるアルプには、本当は積極的にああいうもの・・・・・・を経験させた方がいいのだろうか?

 今日は一旦巣穴に帰って、頭を冷やして考えよう。


 そうだ、一度淫魔たちのたまり場に連れて行ってもいいかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る