第3話 ちーんこちんこちんこ男の娘♪

「ちーんこちんこちんこ男の娘♪ お股の 間に ぶらー下がるー♪ とってーも オトクな 男の娘ー♪」


 私は陽気に歌いながらダンジョンに潜っていた。

 配信者パーティ『血まみれ☆オレンジロード』が全滅したのは12層だ。

 Wikiを見る限り、あいつらの平均レベルはおよそ50。

 そんな浅層で死ぬとは……モン虐にハマりすぎて鍛錬を怠っていたのだろう。


 モン虐の対象はたいてい弱いモンスターだ。


 私こと、フタナリーナはそんな油断は犯さない。

 犯すのはオスだけだ。

 オスの人間型モンスターを捕らえ、それを調教することで生きてきた。

 おかげさまでチャンネル登録者数は十万人を突破した。


 ダンジョンチューブを通じて流れるみんなの抑圧された性欲リビドーが、私に力を与えてくれる。

 みなぎる力が、私の股間をさらに熱く屹立させる。


 うふふ、それにしてもあのインキュバスちゃんはとてもよかった。

 絹糸のような金髪。

 まだ男とも女とも言えない幼い肢体。

 そして股から垂れる逸物いつぶつ


 アレの先端をそっと指先で撫でてあげたら、彼はどんな表情になるのだろう。

 後ろから犯しながら、アレの竿をしごいてあげたらどんな声で鳴くんだろう。


 興奮が、止まらない。

 劣情が、加速する。

 肉欲が、愛欲が、性愛が、本能が、煩悩が、衝動が、欲情が熱狂が熱情が情火が私の魂を焼く。


 思わず、股間に手を伸ばす。

 怒張した陰茎を撫でながら、陰嚢を取り除いて作ったそれ・・に指を挿れる。


 おかず・・・は配信画面に流れるコメントだ。

 見た目は美少女である私の自撮りは人気が高い。


【親指舐めて】


 いいだろう。

 じゅぷじゅぷじゅぷ。


【脇を見せて】


 この変態め。

 いいだろう。


【好きって言って】


 それはお断りだ。

 私が好きなのは男の娘だけだ。


【ちんこ切ってきました!】


 それなら好きだ。

 あとでDMを送ろう。


「死ね」


 ああ、またアンチか。

 流れるようにブロックを……指が動かない。

 視界が反転する。

 何だこれは?


 石畳に頭を打ち付ける。

 自分の胴体を見上げる。

 配信で稼いだ金で徹底的に作り替えた身体だ。


 ちょうど手のひらで収まる胸に、蜂のようにくびれた腰。

 両足を揃えれば隙間の出来ない太もも。

 すらりとした曲線を描くふくらはぎ。


 ふふふ……いつ見ても私の身体は完璧だ。

 ただ、惜しいのは、首から上が欠けていること……


 * * *


「気持ちの悪いやつだったな」

「うん、急にパンツに手を入れるから何かと思った」

「ああ、あれは……」


 俺は言いかけて、言葉を濁す。

 インキュバスとはいえ、生まれたばかりのアルプに自慰とは何かと教えるのはいかがなものだろうか?


 俺は孤独に生きてきた。

 配信者どもに一族を殺されてから、配信者どもを殺すことだけにすべてを捧げてきた。


 ガキの相手なんて、どうしたらいいかわからない。


「あれは、何?」

「あ、ああ。何だったんだろうな? 小便でも我慢してたんだろう」

「そっか! おしっこ我慢してたからあんなにぎゅぅってなってたんだ!」

「そ、そうだろうな。ともかく、排尿、排便のときには大きな隙が生まれる。安全なときに小まめに済ませておけ」

「うん、わかった!」


 アルプはぼろんと立派なものを取り出して、その場で放尿をはじめた。

 やれやれ、子育てってやつは便所の作法から教えなきゃならねえのか。

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