第9話
「えーっと、先日ナンパされてた子だと思うけどナンパ待ちってわけじゃないんでしょ?そうじゃないならこんなとこにあんまり居ないほうがいいよ。そんな綺麗な銀の髪で整った顔の子が居たら男ならナンパしたくなると思うよ。」
「えっ、あの、その………」
忠告すると銀髪の女の子は顔を真っ赤にしてうつむきながらしどろもどろになった。
すると赤髪の女の子が場違いなほど元気に話し出す。
「ありがとうございました。私は
「たまたまだし気にしなくていいよ。それにお礼は今もらったから俺はこれで。」
帰ろうとしたが
「待ってください。ほら、彩乃。」
「えっと、ありがとうございました………あの、名前を………」
「ホントに気にしなくていいし、この辺に居たらまたさっきみたいな奴らが来るかもしれないから早く帰った方がいいよ。じゃあね。」
俺は足早にその場を離れる。
銀髪の子はだいぶ年下と思っていたが友達らしい二人はどうやらかなり年が近いように見える。
そういえば銀髪の子を助けた話を鈴音にしたときになにか知ってそうな雰囲気があった。
嫌な予感がするのでもうこの子たちと関わるのは止めておこう。
結局、すぐ再会することになるとはこの時の俺は思っていなかった。
■ ■ ■
「ちょっとアヤー、ちゃんとお礼言って話さないともう会えないかもよー。」
「うん…緊張して。どうしよ………」
「今さら追いかけるのも微妙だしね。今回みたいな事あったら嫌だしこの辺うろちょろするのは止めといたほうがいいだろうし。」
「それなら大丈夫だと思うよ。」
「トモ、あの人のことなんか知ってんの?」
「たぶんだけどあの人同じ大学の一個下だよ。たしか伊庭優也くんだったかな。」
「ホント?だったらまた会えるかな?」
「同じ大学ならちょっと探せばすぐ見つかるんじゃない?それよりトモの情報網にビックリなんだけど。」
「ふっふっふ。ジャーナリスト志望の私を甘く見ないでよね。ってもたまたまだけどね。ほら、二年生に中里さんっているでしょ。」
「あー。慈愛の女神って言われてる人ね。」
「そ。でその呼び名って誰にでもやさしくて美人だから呼ばれるようになったんだけど特に同じ高校から入った隠キャにもすごくやさしくお世話してあげてるみたいでそれで着いた呼び名みたいなんだよね。そのよく一緒にいる隠キャっぽい人が今の人だよ。」
「あの人、かっこよかったよ…」
「そうだよ。顔はあんまり見えなかったけど隠キャというより自信に満ちたような人に見えたよ。」
「うーん。大学で何度かあの人見たことあったんだけどもっと猫背でいかにも隠キャって雰囲気だったと思うけど今日は全然そんな感じじゃなかったよね。って言うか別人かと思ってじっと見てたけどあの人眼鏡外して髪整えたらめっちゃイケメンだと思うよ。もしかして中里さんってそれ知ってて付き合ってる可能性あるかも。」
「え?じゃあ中里さんがアヤのライバルになるじゃん。アヤ、積極的にいかないと仲良くなれないかもよ。」
「彩乃はお礼が言いたかっただけ。お友達ぐらいにはなりたいけど…」
「とりあえず今度大学で見掛けたら話しかけてみよう。」
こうして回りの優也に対する評価が少しずつ変わっていってることを優也本人は知らなかったのだった。
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