第2話「正義の翼」

新斗が変身したジェットホークがゲルドーの怪人バクダンゴムシの前に現れた。

「ジェットホークだとぉ!?へっ、我らゲルドーに歯向かう奴がどういう目に遭うか教えてやるぜ!行け!戦闘員共!!」

バクダンゴムシの命令で黒い覆面を被った戦闘員が十数名現れた。

「何だ?随分時代錯誤な感じの悪党だな」

「うるせー!ゲルドーの恐ろしさを見せてやるぜ!」

戦闘員達がジェットホークに襲い掛かる。

「フンッ……行くぜ!!」

ジェットホークは戦闘員達と戦いを繰り広げる。

軽い身のこなしで戦闘員を次々に倒していくジェットホーク。

「へっ、大した事ねぇな。やっぱうじゃうじゃ居る戦闘員は雑魚って昔からのお約束だな」

「ぐっ……おのれ〜!!」

バクダンゴムシが襲い掛かって来る。

ジェットホークは応戦。

「なるほど……お前はまだ手応えがありそうだな……」

ジェットホークとバクダンゴムシが取っ組み合う。

ジェットホークが反撃するが、バクダンゴムシの硬い皮膚には大したダメージを与えられていない。

「くっ……」

「喰らえ!!」

バクダンゴムシは手榴弾を投げ付ける。

「うわっ!?」

ジェットホークの前で爆発。

「ハハハハハッ、木っ端微塵だな」

だが、ジェットホークは持ち前の機動力を活かして攻撃をかわしていた。

ジェットホークは空から攻撃を仕掛ける。

「何っ!?」

「おりゃあああー!!」

ジェットホークの強烈なパンチがバクダンゴムシにヒットする。

「ぐあっ!?」

「よっしゃ!」

そこに矢木博士から通信が入る。

「鷹井君、今だ!トドメを刺すんだ!」

「トドメってどうやって?」

「必殺技のコードを叫べばAIが認識して発動してくれる。必殺技のコードは『ジェットストリームキャノン』だ!」

「なんか、ボールペンみたいな名前だな……了解!」

そして新斗は叫ぶ。

「ジェットストリームキャノン!!」

するとAIが新斗の音声から必殺技コードを認識。

《ジェットストリームキャノン発動します》

すると、背中の翼が広がりエンジンが高速で回転し始めた。

ジェットホークの必殺技『ジェットストリームキャノン』が発動。

熱風を帯びた竜巻がバクダンゴムシを攻撃する。

「ぐ……ぐわぁぁぁぁっ!?」

バクダンゴムシは大爆発を起こし倒された。

「やっ……やった……」

ジェットホークの勝利だ。


「鷹井君、良くやってくれた」

「あ……ハハッ……何とか……なりました」

「鷹井、とりあえず戻って来い」

「戻れと言われても……」

「大丈夫、ジェットホークが自動で戻してくれる」

「え?」

ジェットホークのAIが作動し、基地まで飛行。


基地まで帰って来た新斗は呆然としている。

「鷹井、大丈夫か?」

岩城が新斗を心配し声を掛ける。

「ええ……ただ、何がなんだか……」

「そうだな。順を追って説明しよう。ただ……疲れただろ?ジェットホークシステムを装着しているとは言え、かなりのGが掛かるからな。少し休んでからにしよう」

矢木博士は新斗を気遣いそう言うが……。

「いえ、大丈夫です。それより、今すぐ説明をお願いします」

「そうか?なら、このまま説明しよう……」

そう言って矢木博士はあの怪人とジェットホークについて説明を始めた。


まず、矢木博士が調べた所、あの怪人バクダンゴムシを送り込んだのは世界征服を企む悪の秘密結社ゲルドーだと言う事。

ゲルドーの組織についてはまだ殆ど分かっていないが、人並み外れた力を持った怪人を生み出し、襲って来ると言う事。

そして、その力に対抗する為に矢木はジェットホークを開発した。

「そんな奴らが……でも、何で分かったんです?」

「少し気になる事があってな……だがそれはその時が来たら話そう」

何故か口を濁らせる矢木博士。

「鷹井、現場の被害状況を確認しに行くぞ」

「了解!」

岩城隊長と新斗は車で現場に戻る。


「会場に墜落した機体は無し。……来場者に被害が出なかったのは不幸中の幸いだな……」

「ええ……」

「鷹井、ブルーインパルスに居た俺の同期やお前の先輩の事は残念だが……我々は悲しんでばかりもいられない。一刻も早く敵を倒し、この国に……いや、世界に平和をもたらさなければならない」

「勿論です……ゲルドーは必ず壊滅させますよ……」

新斗はゲルドーに対する怒りが込み上げ拳を強く握り締める。


翌日、自衛隊の基地では亡くなったブルーインパルスの隊員達への追悼の意を込め、黙祷が行われた。


その後、普段通り訓練に戻る新斗達。

葵が指導に付き、新斗の飛行訓練が行われる。

だが、新斗は亡くなった木戸の事ばかり考えていた。

「……」

「鷹井君、現在の高度は?」

「……」

「ちょっと鷹井君!」

「え?あっ、はい……」

「何ボーッとしてるの……飛行訓練中は集中しなさい!一歩間違えれば命取りになるのよ!」

「すみません……」

「亡くなった先輩の事は残念だけど、私達の仕事は悲しむ事じゃないの!この国を守る大事な使命があるのよ!」

「そうですね……すみませんでした」

「はぁ……今日はここまでにしましょう。基地に戻って」

「了解……」


だが、そこへ地上からゲルドーの怪人、ハリネズミサイルが新斗と葵が乗る戦闘機を狙っていた。

「フンッ、喰らえ!!」

ハリネズミサイルの背中のトゲから数発のミサイルが発射される。


戦闘機に警報が鳴る。

「ん?地上から熱源が接近!」

「何ですって!?」

新斗と葵は目視でミサイルを確認。

「ミサイル!?避けて!!」

「言われなくても……」

新斗は必死に操縦し、ミサイルの攻撃を避ける。

ミサイル同士がぶつかり空中で爆発。


その頃、矢木博士の研究所でもゲルドー出現の情報が入っていた。

「ゲルドーか……岩城隊長!」

急いで岩城隊長に連絡する矢木博士。

「何ですって!?鷹井!!」

「今……襲われてます……」

「何だと!?」

そこへ、再び矢木博士が連絡を入れる。

「ジェットホークを遠隔で鷹井君の元へ向かわせる!大変かも知れないが空中で装着だ!」

「そんな事出来るんですか!?」

「まぁ、一応……こんな事もあろうかとな」

「分かりました……鷹井、ジェットホークを向かわせる。空中で装着しろ!」

「はい!?そんな無茶な!?」

「ちょっと、こんな時に何!?」

「とにかくやるんだ!!脱出だ!!」

「了解!……緊急脱出します!」

「仕方ないわね……タイミングを見計らうわよ!」

そして、一旦ミサイルが途切れる隙を見つける。

「今だ!!」

鷹井は脱出レバーを引き、葵と共に戦闘機を脱出。

その直後、ハリネズミサイルのミサイルが戦闘機に命中し爆発。

「間一髪だったわね……」

そこへジェットホークが飛んで来る。

「来た!」

新斗はパラシュートのベルトを外す。

「ちょっと、何やってんの!?死ぬ気?」

「いや、助かる為に行くんです!」

新斗はパラシュートを外した。

「ちょっと!!」

新斗は落下していく。

「うわぁぁぁぁっ!!……頼むぞ……ジェットホークぅぅぅぅ!!」

ジェットホークは新斗の背中に装着され、アーマーパーツが次々に新斗の体に装着されて行く。

装着が完了し、新斗はジェットホークとなった。

ジェットホークが葵を助けに行く。

だが、葵に向かってミサイルが飛んで来る。

「きゃっ!?」

だが、ジェットホークは葵の体を支え、右手のアーマーに装備された小型のレーザー銃でミサイルを迎撃する。

ミサイルは爆発。

ジェットホークは葵のパラシュートを外し、葵を抱きかかえたまま地上に向う。

「ちょっと!何考えてるのよ!!」

「大丈夫ですから!目瞑ってて!!」


そして地上が近付くと体勢を変え、ゆっくりと着陸。

「ハァ……ハァ……あなた……何者なの?」

「詳しくは後で。それより、敵、やっつけて来ます」

そう言ってジェットホークはゲルドーの怪人を探す。

AIがミサイルの弾道等からゲルドーの怪人の居場所を特定する。

そして、ジェットホークがハリネズミサイルの前に現れる。

「何っ!?何だお前は!?」

「ん?正義の味方さ……お前達のような悪党を倒す為のな!!」

ジェットホークがハリネズミサイルに攻撃を仕掛ける。

ハリネズミサイルは遠距離攻撃が得意は分、接近戦では不利だった。

ジェットホークのパンチやキックを尽く喰らい、ふらつくハリネズミサイル。

「ぐあっ!?」

接近戦ではジェットホークの相手では無かった。

「トドメだ!!」

ジェットホークの必殺技『ジェットストリームキャノン』を放ち、ハリネズミサイルを倒す。

「ふぅ、終わったぜ……」

敵を倒し、新斗は変身を解除。

ジェットホークは矢木博士の研究所に帰って行く。


続く……。

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