第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト短歌の部

香坂 壱霧

怯えた瞳鳴かない君を抱きしめて三日目の夜聞いた声「ハウ」

おびえたひとみ なかないきみを だきしめて みっかめのよる きいたこえ はう




愛護センターの譲渡会でのであい。

元気にないてる三ヶ月くらいの子犬ちゃんたちが何匹かいて。

彼だけ、他の子より、少しカラダが大きい。推定七ヶ月。

愛護センターの譲渡会で、誰からも選ばれずに何ヶ月も譲渡会で、人の目をみてきたんだろう。

おびえていた。

いろんな苦しみや悲しみ。

どういういきさつでここにいるのか、わからないけど、家族の総意で、彼を選んだ。

つきっきり。

粗相をたくさんして。

どんな状況でも、声を出さずにいて。

声がでない子なのかな、と。

とにかく、鳴かなくてもいいから、だいすきだよ、を、つたえて、つきっきり。

三日目の夜、かすかに、「ハウ」と、不思議な声をだした。


それから、少しずつ、ワンワンとか、いろんな声を発するようになり。

なぜか、遠吠えだけはしない。

でも、今では、声が大きすぎて、元気に。


良かった。

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