第21話 受け継がれる技4
「癒しの魔法についてはわかりましたが、母上が得意だとは知りませんでした」
「そうですよね、使った事ないですから」
え、おいおい。ママいくら何でも使った事のない魔法を教えてくれるのはいかがなものかと思うよ。
「そ、そうなんですか」
「癒しの魔法は、そう簡単に使えないのですよ。癒しの魔法は相手の心に触れる魔法。一歩間違えれば相手も自分も取り返しがつかないほどダメージを負う事になります。」
「取り返しが付かないほど?」
「そうです。失敗すれば相手も自分も抜け殻のような状態になると言われております。」
「抜け殻ですか。」
「そうです、それだけ人の心は脆く儚いのですよ。だからキアちゃん、もしこの癒しの魔法を使う時は本当に自分がどうなってもいいと思う人に使ってくださいね。本当は誰にも使ってそしかないけど、きっといつか必要になるから、伝えますね」
「いつか、必要になりますかね?」
「なるわよ、きっと!キアちゃんがどんな人に使うか見てみたかったわ」
ん?何で過去形なんだ?これから見れるかもしれないじゃないか。
「さて、じゃあ実際に使うところ見せないとお手本にならないから癒しの魔法使いましょうかね!」
「え、でも簡単に使えないものなんじゃないですか?」
「簡単じゃないわ。私が一番大切な子供に使うんですもの、あなた達以外にいないわ。キアちゃん、アイス。これが癒しの魔法です。」
そう、ママが言うと目の前が虹色に輝き心が浄化されていく感じがした。そう、ゴブリンに対する恐怖や憎悪の感じも浄化されていくような感じがした。
横を見るとアイスが、涙を流していた。
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