異世界戦争
鯖の味噌煮缶
プロローグ1
ピピピ…ピピピ…
電話の音が静かだったここ大白戦線司令部に鳴り響く。
ピピ…ガチャ
「どうした!」
”大佐っ緊急報告です! ロンリーのやつらに
ザザッ…ザー…
「くそっ! 東方面もダメか!」
オリバは悔やんだ。何故自分らがこんな戦争に巻き込まれなけばならないのかと。それと同時に彼は闘志を燃やした。絶対にロンリー大帝国を打ち負かしてこの黒土に平和をもたらすと。
「大佐!」
「今度は何だ! また戦線が突破されたのか!」
「い、いえそうではなく…」
「…?」
「ルピー王から大佐宛てに手紙が届いてまして」
「王から? どれどれ…」
オリバは戦場に似合わないほのかに金色をした上品な手紙を開ける。すると中には「至急王城に来い」のような趣旨が書かれた紙と王城に入るのに必要不可欠な王城許可証が入っていた。
その手紙を最後まで読んだオリバは、どのようにして王都に行くかよりも、最初にこう思った。
「─これ絶対行かなきゃいけない系だったり…する?」
「はぁ…あのですねぇ大佐。王からの呼び出しに対してそんなことを思ってるって王自身が知ったら…あなた大佐の地位にいられなくなりますよ?」
「え? そうなん?」
「普通そうなりますよ! なんで階級が下の私の方が常識をわきまえてるんですか!?」
二日間もの長旅を終え、誇るべきスワーム大共和国の王都である、
(長かったなぁ途中何度も腹に潜む悪魔のせいで腹痛に見舞われたが何事もなくてよかった。…にしても何なんだぁいきなり。王の直接の呼び出しって大体は面倒な話だから正直嫌なんだよな…)
オリバは王に対し若干嫌気が差しながらも2日という日をかけてスワーム大共和国の首都である虹来(こうらい)に到着した。
「虹来王城許可証は持っているか?」
「コレでいいか?」
「…うむ。よろしい、通っていいぞ」
無機質な兵士の質問に答えながらオリバはだだっ広い王城の中を進んで行く。
中は流石王の城だけあってか、どこを見てもあちこちに綺麗な装飾品が並んでいて、ど田舎出身のオリバには到底無縁の場所だった。が、それ故にこの城は大きな欠点も抱えている。
「た、確かに装飾とかマジですごいんだが…王室までどんだけ遠いんだよ!?」
そう、広すぎるのだ。オリバ自身もこの城が大きすぎるという事は重々知っていたが、想像以上の規模の大きさだ。
「クッソォ…どうすりゃいいんだ…。あ、おい! そこのうろちょろしてる坊主! 王室が何処にあるか教えてくれ!」
そう言ってオリバは近くにいた、いかにも貴族の息子っぽさが滲み出している少年に話しかける。大きな期待をのせて。
「ひっひぃぃぃ!? お、王室です…か?」
「そうだ」
「すみません…僕も知らないんです…」
「はぁぁぁあ!? お前その格好、貴族だろ! 何で知らねぇんだよ!」
「だって僕…初めてここに来たんですよ。ていか軍人さん」
「なんだ?」
「大人なのに王室の場所が分からないって、軍人さんもしかして馬鹿だったりする?」
ブチッ、と、何かが切れる音が廊下内に響く。
「そ、そんなことはないぞー(棒)」
(このガキ貴族じゃなかったらぶん殴ってたぞ...)
「あっ…軍人さん…怒ってる?」
「怒ってねぇわ!!」
結局王室に到着したのは門を通ってから1時間後だった。
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