無理数のせいで存在さえ怪しい

     その13



無理数は比や分数に表せない数字で


循環しない小数がどこまでも永遠と続いていく。


古代のギリシャ人はその存在を否認し


有限の世界に閉じ籠ってしまったんだとか。


彼らは数を数直線上の点として捉えていた。


淡いグラデーションの上に点を取るとき


果たしてそれはどれだけ人為的なんだろうか。


自然数さえ人工物なのではないか


その存在さえ疑わしくなってくる。


1ってなんだろう。


個数? 順序? 割合や程度?


あるなしの存在に関わるもの?


こういうことを考えすぎると


実存の危機に陥ってしまいがちだったりで


あまりおすすめできない。


世界は人の認識できる外側まで広がっている。


まっすぐな数直線で震える。






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