第3話 珍しいこともあるもんだ

「えっと」

「・・・は?誰だよお前。俺は今鳴瀬さんと話してんだけど」

制服を見る限り同じ学校の生徒だろう。こんな奴が同じ学校とか信じたくないが。

「鳴瀬さん困ってるっぽいんで、その辺にしといたらどうですかね・・・」

なんかすごいベタな台詞を吐いてしまった。

「あ?例えばどう困ってるんだよ」

俺はスマホの画面を見せながら口にした。

「そろそろ始業のチャイムがなるんで、このままだと間に合わないと思うんすよ」

そう、チャイムがもうすぐ鳴る。ちょうどいい理由だ。

トラブルの気配を感じたのか、人が集まってくる。

「チッ」

舌打ちをして去っていった。なんだあいつ。

鳴瀬さんに謝るなりすればいいのになぁ。

「・・・ありがとうございます」

「どーも」

ぶっきらぼうに返して教室へ向かう。あまり目立ちたくないしな。

「まさか周が人助けをするなんてな。しかも鳴瀬さん」

「・・・何が言いたい」

ニヤニヤ顔がムカついたので、脇腹にチョップを入れておいた。

「いてっ!・・・暴力はんたーい」

黙れイケメン。

「普段目立つのを嫌うお前が、有名人の鳴瀬さんを助けるのが珍しいって話だよ」

「だから早く撤退したんだろ」

俺だって困ってる人を見殺しにするほど性格は悪くない。

「そういう話か〜?」

「そういう話だ」

今日もいつも通りの日常が始まる。

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