死に巣食われる
小学生時代の半ば頃から急に自分の思考に『死』が付き纏うようになった。
それまで死なんて『良い人間は天国へ』『悪い人間は地獄へ』というイメージで固まっていたのに、ふと「実際のところどうなんだ?」という疑問が生じて、ムーに掲載されていた死後の世界の記事を読み耽ったり、少しばかり大きい本屋に行けば死後の世界やら前世療法やらの本が充実しているので(ただし子供が買える値段ではないので)立ち読みした。
そうして何となく「死後の世界はあるんだろうな」と思って中学、高校、専門学校と過ごしてきたが、社会人になってから唐突に、本当に唐突に「死んだら何もねえよ!」と思うようになった。
だって死後の世界を語る人は皆生きている。この人達って死にかけたか何かあって昏睡に陥ってる時に見た夢を『死後の世界』って呼んでんじゃないのか。
幽霊とかタタリとかいう話もあるが、身近な意地の悪い奴見てみろ。自分より楽しそうに暮らしてんだろ。タタリなんて悪いことしてもすぐに罪悪感に押し潰されるような奴の妄言だよ。
こんなこと考えた末に「人は死んだら何も無くなるんだな」と思うようになった。そしたらものすごく怖くなった。今こうして周囲の物事を見て、聞いて、考えてる自分の意識は完全に無くなるのかって。夜、寝る時みたいに瞼が重くなって、意識がフワフワとして、その後には何も続かないのかって。こんなのが人間においては1つの例外もなく皆に必ず訪れるのかって。これを夜中とかに考える度にスーッと背筋が冷えて、思わずヤダヤダと口走ってしまう。
でもそのくせ口癖は「死にてぇ」になってる。仕事しながら、酒飲みながら、夜寝床に入りながら「死にてぇ」と呟く。何が起きるかもわからない将来に怯えて、且つ自分がすごい劣等人種であることを悲観して、死んでしまえば心配も悲観も無くなるよなぁと思う。泣いてくれる親兄弟、友達はいるが、死んでしまえばそんな人達のことを考えることも無くなるからまあ良いか、なんて思って。何なら私は去年ぐらいには死んでんじゃないかって思ってた。
でもこんなこと考えてたらまた死の瞬間を思ってしまって、自分の意識が無くなることを思ってヤダヤダと暴れてしまう。
正直めちゃくちゃしんどい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます