第48話 学校に行くと今日も騒がれる
「タカシくん、おはようおはよう、大変だよ芸能プロダクションからオファーがいっぱいきたよ、どうしよう」
クラスに入るとまた峰屋みのりがデデデと走ってきた。
そうか、芸能プロダクションも動くよな。
「みのり、すごーい、アイドルになるのね」
「きゃー、このクラスからDアイドル爆誕だわっ」
「遅いぐらいだよな、昨日のうちに山ほど来てそうだったが」
「なんだかんだ、良い条件でスカウトしなきゃだから、会議しないとならないからだろ」
今日も峰屋みのりはみんなにわっしょいわっしょいされていた。
「峰屋はどうしたいんだ」
「わかんないっ!!」
「そんなに元気に言われてもなあ、親御さんはなんて言ってる?」
「私とタカシくんの意思で決めなさいって。鏡子おねえちゃんもそう言っていたよ」
そば屋での会食の後、鏡子ねえちゃんは峰屋の家に行って泊まったらしい。
峰屋のご両親に受け入れて貰ったかな。
うちのマンションの空き室だが、俺の部屋の隣の隣の奴が迷宮で亡くなって空いたらしい。
遺品処理とか内装を綺麗にするのに二週間ぐらい掛かるとの事。
その間、鏡子ねえちゃんは峰屋家でお世話になるらしい。
「芸能プロダクションを選ぶのは難しいですね、峰屋さん」
「そうなの、困ってるのっ、東海林君」
「東海林おはよう」
「おはよう新宮、鏡子さんの私的まとめ動画見た、すごいなあの人」
「すごいのよっ、鏡子おねえちゃんはっ」
人をかき分けて俺は自分の席に付いた。
峰屋みのりは前の奴の席に座る。
東海林は椅子を持って来た。
「鏡子さんは滅茶苦茶な戦士だな、長らく転職も試してないはずだ、なにか上位職になれるかもしれない」
「今日、鏡子ねえさんの住処から魔石とかドロップとかを集めて売るのを手伝うから、そのとき神殿に行ってみるよ」
「ブラジルで一回でた、【
それは鏡子ねえさんらしい
「東海林くんの方はどう? パーティ内落ち着いた?」
「ああ、霧積も反省して大人しくなった、また十一階から地道にレベル上げだよ」
「そうか、それは良かったな」
「正直、鏡子さんに魔剣を折られて良かったと思っているんだ、なんだかレアが出てからパーティ内が浮き足だっててね、霧積に付いていけばトップに行けるかも、とか夢を見た所がある」
「三ヶ月ぐらいで戻ってくるしな、パーティのまとまりが良くなるなら安い授業料かもしれない」
「ああ、新宮の配信料があって助かった、感謝する」
「よせよ、友達だろ」
「そうだよそうだよ、水くさいぞ東海林君」
「峰屋さんもありがとう、一緒に冒険して色々な事を教わった気がするよ」
「もー、東海林君は律儀なんだから~」
後ろのドアが開いて、後醍醐先輩が入ってきた。
「タカシ~~!! 狂子さんを紹介してくれっ、というか、俺のパーティにくれっ!!」
「おはよう、後醍醐先輩、そういう事は本人に言ってね」
後醍醐先輩は興奮して俺の机をバンバン叩いた。
「私的まとめで見たっ!! 狂子さんは五階にいる変人裸族女とばっかりと思ってたんだが、すげえよ、あの人は漢だっ!」
女性だよ。
「鉄拳一つで迷宮王のクソ野郎に挑んでぶっ殺す、漢気がすげえ、俺は舎弟になりてえっ!!」
ああ、舎弟になりたいのか。
さすがに子分にはできないのね。
「俺は最終決戦で泣いた、頭に剣をぶっさされた時に悲鳴が出た、死なないでくれえ、死なないでくれえ、このクソ野郎をぶっ殺してくれえと祈った。したらお前、
何やってるんだ、後醍醐先輩のお寺は。
後醍醐先輩は涙ぐんでいた。
あれだな、一家揃って鏡子ねえさんのガチのファンになったという事か。
「今日は鏡子さんの迷宮五階の住処から引っ越しをするんですが、後醍醐先輩もきますか」
「いく、是非行く、狂子さんに紹介してくれえっ!」
「さすがは鏡子おねえちゃんね、魅力的なのだわ」
また北村チヨリ先輩が踊りながら入ってきた。
なんか先輩二人の来襲が朝の天丼になってきているなあ。
「みなさま『おはようおはようおはようございます~~♪ すてきな朝、青い空、白い雲に今日の元気をはじけさせましょ~~♪』」
「ぬぬっ、【おはようの歌】ね。しゃっきりぽんと目が覚めるわ」
なんだか覚醒状態が上がる感じだな。
地味だが良い呪歌だ。
「おほほほ、この【おはようの歌】で朝のワイドショーの仕事が取れましたの、明日からテレビサンバで毎朝歌いますのよ~~」
「それは良い仕事ね~~、いいなあ」
「ですので、タカシくんパーティをまとめて我がリーディングプロモーションにスカウトしてこいと社長に厳命されたのよ~~。狂子さんも華があって素敵ですわ~~。アクション映画、特撮番組に売り込みたいと言ってましたわ~」
「鏡子ねえちゃんは、たぶん台本おぼえられないよ」
「というか、あんなつええ人を芸能人にするのはもったいねえっ」
「そうですね、鏡子さんは配信冒険者が天職と思いますよ」
「おうっ、メガネのくせにわかってんなっ!!」
後醍醐先輩が東海林の肩をバンバン叩いた。
「おーう、みんな席につけ~、後醍醐も北村も毎日くんな」
先生がやってきた。
「おう、じゃあ、放課後にな、タカシ」
「わたしも行きましてよ」
チヨリ先輩も来るつもりなのか。
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