第27話 最強の殺し屋クロは、調理実習を習う
先日レイは、自身の真の実家である六色光の大本部に行き、戻ってきたのである。そして今日はアルスアカデミア学園で調理実習が行われる。
まだこの見習いにもなっていない生徒たちはなぜ殺し屋に調理技術が必要なのか理解していない。だから簡単に俺が紹介しよう。
基本殺し屋は長期任務が基本だ。実力が上がれば一日いや夜中の間に任務をこなせる。だが普通の殺し屋は何日もかかる。相手の行動パターンや相手の意識。ほかにも滞在ルートなど全てを探らないといけない。
そんな長期の仕事でむやみに外に出れない殺し屋は、自分自身で食べ物を調達、調理をしないといけない。ほかにもこの調理実習でおそらく食べ物の見分け方も覚えられる。一石二鳥だな。
そんな学園生活の昼下がりの教室のベランダにレイは太陽の光と風を浴びに黄昏ていた。
「大本部もかなり人がいたよな~」
「ん? 何ってレイっち~」
「うわ。びっくりしたよ」
背後からいきなり驚かせてきたこのピンク髪の女は、あの六色光のピンクであるリリーの実の妹であるフェリンだ。
「フェリンどうしたんだ?」
「そそ。午後からある調理実習だけどさ~」
「どうせパートナー探しだろ?」
「うぇ!! なんで分かるの?」
「大体予想つくよ」
フェリンと今回の調理実習の内容やほかにも色々な事を喋りながら。調理室に足を運んでいた。その途中にルイスの姿が見えた。
「ごめんフェリン。少しルイスに用事あるから先行ってくれないか?」
「しょうがないな~レイっち!」
そう言葉を置くと、フェリンは一人で調理室に向かった。そしてレイはその姿を最後まで確認してルイスに近づくと小声でしゃべる。
「お前も知っていると思うが今狙われているんだろ?」
「そうだね。俺自体には武力はあまりないからできれば助けてほしいんだがね」
ルイスは自身の自慢の髪を手でかき上げてレイを見つめる。
「おい、やめろよ。まぁお前とは昔からの仲だしな。こちらとしても全然助ける」
「おいおいありがとうにすぎるぜ!」
「でもお前の周りを固めるのは俺ではなく
「うぉー!! デスちゃんも手を貸してくれるのか!」
そしてルイスへの用事も終わり今回の本題である調理実習にうつる。
「ではこの雑草と見える四つの植物ですがこの中で一つだけ食べられます。一方ほかの三つは毒が入ってます」
(これは良いね。自ら毒か無毒か判断できる授業だし、毒のある植物は暗殺でも生かせる)
レイは内心この教師にグットポーズを取った。
「植物の見極め方って難しいよね~。特に雑草は難しいよ」
「さすがのエリスでも無理なんだな」
「ルイス馬鹿にしてるの??」
「冗談だよ」
いまこの二人が候補として持っている植物は両方とも毒草だ。ルイスはもちろん毒草と分かっていると思うがエリスは素で間違っている。
今回俺達のトレーに出された植物は、左から【クレクレ草】【トリカブト】【ハシリドコロ】【リフラン草】その四つだ。もちろんだが無毒で食べらる植物はリフラン草だ。簡単だ。
「エリスお前が持っている植物は毒草だぞ」
「え!?!? うわ本当だ」
「やっぱりレイは凄いな」
(いやお前も分かっていたじゃね~か)
エリスが持っていた毒草はハシリドコロだ。こいつはナス科の植物で食べると視力障害、口渇、幻覚・錯乱、痙攣・昏睡と言うたくさんのデバフがついてしまい。しまいには数分後死に至る植物だ。
「教師も教師だよな……。こんな危ない植物を……」
「ねぇねぇ。レイはさほかに植物見分けられるの?」
「ほぼ全部分かる」
「やっぱりあなた何者なのよ……」
俺がこんなに植物が詳しいのも昔に関係している。昔も今よりかは劣るが孤児時代にいろんなものを口にして独学で覚えた。でもそれでもまだ俺には知識が浅かった。
「レイさん。これあててみてね」
「分かった」
まだ俺の感情が無かったときにリキッドから教えてもらった植物学は難しかった。
「難しいな」
「でしょ。でもねこれは必要な事なんだよ」
「そうなのか」
今なら分かるが、あの選別は流石に難しすぎた。今はもちろん簡単に分かるがこの学園では扱えないほどの見分けが難しい植物や、希少価値があまりにも高すぎて情報が全くない植物だってあった。そう思えばリキッドはかなりの天才なんだろう。
そんなこんなありつつ授業は進んでいった。
「ではこの似た植物はどちらかが毒草です」
「これもまた似てるな~」
「エリスっち分かる?」
「う~ん。前の植物学の授業で話していた内容だけど……」
「おっと、これは右の植物が無毒だな」
今回出された問題は左からイヌサフランとヒトビロの二つだ。今回出されたイヌサフランは、特徴と言ってもいいほど綺麗な紫の花がついていない要するに葉だけの状態だ。そしてこれに似た植物はヒトビロだ。どっちも葉が丸みを帯びているのも特徴だ。
この花がついていないときの見分け方はズバリ簡単だ。そう茎を見れば良い。ヒトビロは茎に赤みを帯びているが逆に毒草であるイヌサフランはその赤色が無い。そしてこの植物は絶対に見間違えてはいけない。
「なんでかって? 簡単だよ……俺も使う暗殺毒だからだ……」
「うわこわ!」
「レイってたまに怖いよね」
「そんなことないよ(笑)」
そして今日の調理実習の授業は無事に終わった。
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