第21話 最強の殺し屋クロは、卑劣な姉妹と対峙する
「確かにあんたは強い……だがほらパートナーを見てみて、今にも負けそうだよ」
そう指示するリーは自身の相方であるファーの所に指を指す。レイはそちらの方を見てみると服がボロボロに破れて今にも倒れそうなエリスの姿がレイの目に写る。
「これはやばいね……」
「でしょでしょ!!」
「早くしないと……」
「でしょ? 早く負けを認めないと相方ちゃん死んじゃうよ?」
「お前、リーといったか? 少しリーは勘違いをしている。それを認めるんじゃなくて早くお前を退場させないとな。と言ったんだ」
そのレイの挑発に簡単にのるリーはすぐさまレイを睨みつけながら次の攻撃を仕掛ける。
「ふざけるな!! 《
「やれやれ……」
「って思ったか? 《
まさか挑発に乗ったリーが冷静に判断してそのまま行くのではなく技を変えてレイにぶつけると言ったファインプレーを見せたが……。
バシッ
「これも知っているよ」
「なに!?!?」
これには観客席だけでなくお偉いさんたちのいるVIP席や実況席に居た誰もがびっくりした。レイはそのまま終わらずに追撃を仕掛ける。
「ふぅ~~。《
見た目は軽くだがあててみれば強烈に重く早い一撃がリーの腹に命中してそのままフィールドと観客席を分けるための結界に強くぶつかった。
「はぁ~はぁ~」
リーが乙女な声を出しながら。レイを睨みつけながらその場から立つ。
(あれを食らってまだ立つか……)
レイは一旦様子を見るために自身の動ける範囲まで下がった。そこで一応エリスを確認するがエリスの戦況も変わっていない。
「おい! エリス!! 最後の力を振り絞れ!!」
「レイ……」
ここで一回エリスに喝を入れることで戦う意欲を引き出しながら指示をだした。
「分かったわ」
{ここで二人が両端に走りだす!!}
「ちょこまかと……。行くよファー!!」
「おーけー。天上」
「天下」
『天地無双!!《
リーファーともに服の袖から数えきれないぐらいの札が出てくる。その札は次第に二人の真ん中に集まり巨大な球となる。
「うん。知っていた」
「レイ準備できたわ」
「行くぞ! エリス!!」
{おーと両チームが大技の準備をしている!! リーファーペアが優勢だがここからいかに試合展開を持っていくのかが見どころです!!}
次第に大きくなる札球を前にレイは真ん中に行きエリスは逆に離れて。レイに向けてエリスは攻撃を仕掛ける。
「行くよレイ!! 光の刃よ……的を射ぬけ《ホーリーランス》」
そして無数の光の矢がレイの元へ向かい大きな砂ぼこりが宙に舞う。そしてその様子を想定していたのかレイも準備をする。
「死んじまえ!! 札球あいつらをやれ!!」
リーはそう指示すると札球が分裂して空中に無数の火の球が出てくる。エリスは逃げようと場所を探しているがこの技に逃げ場などない。エリスは願った。そしてレイは静かに口に出しながらつぶやく。
「魔術に頼るのは嫌だったが……。《チェーンブレイク》」
一体何が起きたかは分からなかったがただ一つ変わった事がある。それは札球がなくなっている。
{これは何が起きたんだ!! 何も見えなかったが確かになくなっている!!!}
周りに歓声の声が広がった。そしてリーファーに近づくレイとエリスは二人の胸元についている紋章を真っ二つに割って試合は終わった。
レイ宅にて。
「お前らまた居るのかよ」
「レイとエリスの勝利に乾杯!!」
「乾杯!!」
また祝勝パーティーを始めている。
「ったく……。まぁ良いよ。でも俺今から会う人がいるから俺行くね」
「え~。レイ行っちゃうの?」
「今日のレイさんとエリスさんかっこよかったですよね」
「そうだな。エリスちゃんのあのトラップと言い、レイの理解不能の打撃攻撃は本当にびっくりしたよ」
「でさ~。ルイスくんも強いよね? なんでドミニオンに出なかったの?」
「俺は思っているほど強くないんだよ!」
「またまた~」
そんな会話をしている中レイはたった一人指定されている場所に出向く。
「で。なんだ?」
「レイちゃん」
「だからなんだリリー」
「もぉ~冷たいぞ!」
「早くしろよ、俺はせっかく開いてくれた祝勝パーティーがあるんだ早くしてくれ」
「まったく。レイちゃんはひどいぞ。でさ……ターゲットが決まったよ」
急に声色を変えたリリーに対してレイは真剣な表情をした。
「そしてねルイスくんが狙われているんだよ」
「あいつもかなり伝説を残している人間だからな。そしてターゲットはどこにいるんだ?」
「このために私頑張って探しました!!」
「どうせ拷問だろ?」
「そうだよ~。すんなりと話してくれて助かる助かる!」
そういうリリーはレイに手渡しである一通の手紙を渡すとその場から姿を消す。一人になったレイはその手紙を開けるとある一つの企業名が書かれていた。
「これは……。懐かしい企業名だ……。そうだな暴れに行くとするか……」
レイは静かな夜闇に消えるようにいなくなった。
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