革靴族

革靴には意味がある。


たとえば銀行員の革靴は、歩くたびに私には‘お金を扱う’というステータスがある。


たとえば警備員の革靴は、歩くたびに私には‘人を取り仕切る’というステータスがある。


たとえば看守の革靴は、歩くたびに私には‘囚人を支配する’というステータスがある。



革靴のあの、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、カッ、



街中の人々がそうなのだが、実はあれは共通認識として(人を支配したい)、(私はあなたを支配する)、


(この革靴の音が聞こえない?

私は、あなたを脅しているよ。

はやく、私に襲われなさい。)


という暗黙の了解なのだ。



そして‘フェチ’までいるのだ。



そして、耳人形は知っている。


この革靴の音を鳴らして、人々が下卑た快感を味わっていることを。

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