第24話 本選③
「私の武器はそこらにあるマジックワンドよ。武器破壊はさして意味はないし、600以上のレベルの差があれば自力でも勝てるはずだわ」
準決勝第一試合の相手は、『教導魔術師団』
自力でも魔法を発動できる魔術師にとって武器はそこまで意味があるわけではない。
当然魔法の威力を底上げしてくれるのだが、マジックワンドでは大した効果はないし、壊されても痛くも痒くもない。
さすがにA級以上とかの武器を壊されるともなると戦いで使いたくないらしい。
いい加減僕のレベルは低いのに高性能な武器とか使われると一撃KOの可能性が高くなりそうなので、勝手に警戒してくれるのはいいことだ。
「あなたの前の試合、魔法が使える斧を嫌って壊したわよね。つまり魔法攻撃が弱点ってこと。『疾く駆けよ、ウインドアロー!!』」
風を切る音とともに魔法の矢が飛んでくる。
初級の魔法だがそれなりに強そうだ。
「ていっ!」
風の矢を殴って迎え撃つモーションをして、同時に【リターン】で跳ね返す。
反転してレナに向かって行く風の矢。
「ウインドアロー!」
それを相殺しようとして向こうも同じ魔法を放ったが。
「きゃあっ!!」
迎撃の風の矢が撃ち負けて跳ね返した風の矢がレナにヒット、彼女はよろめいた。
「……なるほど、その一見して地味な小手が神器ってわけね。魔法を増幅して跳ね返すの。自分は相手の武器を壊すのに自分は神器を使うなんて性根の腐った人!」
ひどい言われようだ。
が、口で攻撃してくるなんて向こうに余裕がない証拠だ。
「降参してもいいんですよ? そこまで分かってるなら僕に勝てないことも分かるよね?」
いつか言ってみたかったセリフだ。
「私にもプライドがあるわ。最後は拳で止めを……」
と言うので近付いて軽くボディに男女平等パンチ!
勝った!
準決勝完!
とはならず、ガイィィィン! と僕に衝撃が跳ね返ってきた。
衝撃で驚く僕だが、レナも驚いていた。
「こんな手に引っかかるなんて、思わなかったわ? あなたさてはバカね? でもわかったでしょう、これであんたは私に手出しできないわ」
反射の魔法を使った様子はなかったし、武器は平凡、アクセもなさそう。
ってことで、僕は彼女に素早く近づいて左手を突き出し彼女の体防具に触れる。
「え、まさか、嘘よね、やめなさい、この卑怯者! クラン総出であなたを襲うわよ!!」
「アーマーブレイク!」
【リターン】を使ってレナの防具を素材に戻すと、銀色の粉に変わりアンダーシャツが露わになる。
「ああ……、なんてこと……。魔力を消費して物理攻撃を跳ね返す『反撃の衣』が…… 神器なのに」
「バカなのか? 武器を壊せる手段があるってわかってるのに何で防具も壊せる手段もあると思わなかったんだ?」
「あのね、武器破壊スキルなんて剣聖クラスじゃないと使えないレアなのよ。そんなもの一つ持ってるだけでも奇跡的なのにレベル300のくせに他にも持ってるなんて誰も思わないわよ! あーあ、棄権するわ。クランマスターにどやされる……」
◇◇◇
全国探索者大会(Lv1000未満)総合スレpart31
627:名無しの探索者
防具も壊せるのかよw
628:名無しの探索者
会場がお通夜みたいになってる……
629:名無しの探索者
そして放送事故w
レナちゃん下着の色は白!
630:名無しの探索者
さすがに降参か
631:名無しの探索者
やべえな、低レベルだからってアイツに絡めねえなあ
632:名無しの探索者
『漆黒の瞬き』のやつらガクブルしてそう
634:名無しの探索者
なんで?
635:名無しの探索者
帰来誠って『漆黒の瞬き』にいたんだよ
んで、いっしょに入った恋人の幼馴染を京極に寝取られたし
恨み骨髄に達してるんじゃないの
636:名無しの探索者
うへえ……
でも上位のクランメンバーに手を出したら
『黒狼』が黙っていないんじゃない?
637:名無しの探索者
『白銀の輝き』には『銀狼』がいるだろ?
誠をかばうんじゃないか
かつて日本で最強を争った2人だからどうなるか予想つかんな
638:名無しの探索者
クランにいたころも大人しくて真面目で
道具の整理なんかもきちんとしてたから
こっちから襲いかからない限りむやみに壊してこないと思うよ
襲いかかられて武器を壊しても正当防衛だろうし彼は悪くない
639:名無しの探索者
えらく誠に肩入れしてるじゃねえかw
京極が嫌いか?
640:名無しの探索者
……京極に彼女を盗られたんだ
飽きたからポイって捨てられたのに彼女はまだ京極が好きとか言ってる
641:名無しの探索者
……お、おう、ご愁傷様だな……
642:名無しの探索者
ギャンブラーワイ氏、誠に全財産賭けてて超歓喜!!
決勝も勝ったら一生ニートするんだ
643:名無しの探索者
空気読めよ
◆◆◆◆◆◆
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