第2話「お初にお目にかかります。玲香の母上殿」

〇登場人物紹介〇


吸血姫セリス=ローゼンブルク


物語の主人公。

由緒正しき、貴族の公爵の娘。ヴァンパイアの家系で女の子が大好き。

緑の髪、赤色の瞳の少女吸血鬼。年齢は、120歳。見た目の年齢は、16歳。

自身の側仕えを探すために日本へやってきた。一人称は、わらわ。



水野 玲香-みずのれいか


物語のW主人公の一人。

家が神社で、そこでバイトをしている。黒髪ロングヘア―の17歳、高校生の少女。

ただのバイト巫女さんかと思いきや、高い霊能力を持っており、本物の巫女の素質を秘めている。一人称は、ボク。

見た目は、清楚で可憐に見えるが性格や言葉遣いは、男っぽい。出張中の父、母、弟が一人いる。

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「母さん。ただいま」

玲香がドアを開けて、中に呼びかける。それに続くようにセリスも玄関に入った。

「玲香ちゃん。おかえりなさい」

奥から出てきたのは、パーマが掛かったミディアムヘアに

小柄な、可愛らしい容姿のおっとりとした女性だった。



その姿を見てセリスはほうと頬を染め、ひそひそと玲香にささやいた。

「玲香、この可憐な方は、そなたの姉上か?」

「いや、ボクの母さんだよ」

その会話を聞いた女性は、自己紹介をした。

「まあまあ、玲香ちゃんのお友達かしら?私は、玲香の母の叶恵かなえと言います」


叶恵はにっこりと微笑み、軽くセリスに会釈をした。

セリスも慌てておじぎをして。

「お初にお目にかかります。母上殿。わらわは、セリス=ローゼンブルクと申す者です。以後お見知りおきを」

優雅な所作で挨拶をする。

「玲香ちゃん。この子……」


玲香と同じ、不思議な瞳で叶恵はじっと、セリスを見つめる。

「そう。この人は、人間ではないんだ。ルーマニアから来た、吸血姫だってさ」

何と玲香は、母にあっけなく正体をばらした。

「玲香!」


セリスは、少し怒りを含んだ指先で、玲香の着物をぎゅっと掴んだ。

「大丈夫だよ。ボクの霊能力は、母さん譲りで。当然、母さんもそういう免疫付いてるし、他の人に言うような。人じゃないから」

玲香が振り向いてセリスににっと笑うと、叶恵も穏やかな微笑を向けた。

「そ、そうか……。」


思わず安堵のため息をつく。玲香は、母にこう言った。

「そういう訳で、しばらく、セリスをここに泊まらせる予定だからよろしく。母さん」



玲香とセリスは玄関から、二階の玲香の部屋に移動した。

部屋に入ると、女子高校生の部屋とは、思えない程。さっぱりとしていてまるで、男子の部屋のようだった。あるのは、ベッド、テレビ、タンス、テーブルなど必要不可欠な物のみ。

「あまり、女子っぽいのは昔から好きじゃなくてさ。ボクって変わってるだろ?」


玲香が思わず苦笑する。

「まあ、座ってくれ。お茶くらい出すから」

セリスに座布団を進めると、側の白いミニ冷蔵庫からペットボトルの緑茶を出し、玲香の前に置いた。ふたを開けて、飲み始めるセリスと玲香。



玲香とセリスは今、話せるお互いのことを話した。

玲香は、霊能力が高いために幼い頃から霊や人ならざる者が見え、苦労して来たこと。

セリスは、吸血鬼であるがために迫害を受けて来たこと。自分が名家の出で、側仕えを探しているということなどを話し合い。


ふたりの距離感が少し、縮まったような気がした。

その時、セリスは突然玲香の両手を握り、頬を染めてこう言った。

「玲香、そなた。わらわの側仕えにならぬか?いや、是非未来の伴侶になって欲しいのじゃ! 共にわらわの国に来てくれ」


突然の出来事に玲香は目を丸くして、驚いている。

「セリス、ごめん。ボクは女だし。まだ、ボク達知り合って間もないしさ。家族もいるから。一緒には、いけないよ」



それでも、言葉とは裏腹に玲香は、顔を真っ赤に染め胸が、どきどきして高鳴っていた。

「わらわは、諦めぬからな。そなたが、夫になる日まで!これから、よろしく頼むぞ」

セリスは、玲香の様子を見て、赤色の目を細めてにこりと微笑んだ。


🌛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌛

〇登場人物紹介〇


水野 叶恵-みずのかなえ-


玲香と小学生の男の子の母親。本人曰く“永遠の23歳”のおっとりした若々しく、優しいお母さん。

神社で神主をしている。

料理があまり得意ではなく、仕事をしている為。娘に頼むことも多い。

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