これから一生付き合っていく相棒と折り合いをつける方法
最初は全く行けなかった事業所も、段々と通える日にちが増えていき、最高週五日、事業所に通える日も出て来た。そして時間の経過と共に段々と自身の勤務体制が安定してきた。
だが安定してきたと言っても、私は時折事業所を丸一日休む事や、調子が悪くて短時間の作業しか出来ない事があった。
その時は、正直、心の底から「悔しい!」と思った。
そして、何だか病気に完璧に負けてしまったような、相手と喧嘩をしてコテンパンに打ちのめされた時の子供の様な、そんな惨めで情けない気持ちでいっぱいになった。
その時は本当に私は激しく強く落ち込んだ。
だけれど後に自身の気持ちを何度も咀嚼して整理すると、「これは勝ち負けの話ではないな」と、自然と考え方が変わっていった。
私は一生病気と付き合っていくと、精神障害者保健福祉手帳を取得した日に、そう決めたのである。
だから『これから一生付き合っていく相棒=障害や病気や症状など』に、何でもかんでも勝敗を決めてしまう事はナンセンスだと感じた。
そしてそれは「自身にとって、とても疲れる作業であるし、自身の今後の成長にとってきっとマイナスになるな」と、直観的にそう感じた。
そう考え方と見方を変えてみると、心の重荷がスッと軽くなったような気がした。
疲れることや自身にとって良くないことはしない方が賢明である。
この頃の私は自身を少し俯瞰して物事を見ることが出来るようになっていた。それくらい、自分自身が大きく変わっていることに、成長していることに私は気が付いていた。
そして最初の頃に比べたら、今の私のこの状態と環境は、自身でも褒めて良いくらい上出来ではないかと、その頃の私はそう思っていた。
少しずつだが、確実に。私の心に変化が生まれていた。
正直自分がここまで回復して、事業所に通える事が出来るようになるなんて、思ってもみなかった。
それは両親も全く同じ考えだったようである。特に母に至っては「一ヶ月くらいで、すぐに事業所を辞めて、また家の自室に引き篭もってしまうと思っていた」とそう真顔で本音を溢していた。
そんな両親を見ていると、「ちゃんと見ていてね。これからの未来の私は、きっともっと大きく変わっていくよ」と、私は自身の心の奥底で強く強く思うのだった。
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