ご褒美
そう、オレが後ろを向いたその視線の先には。
オレが大好きな女の子、桐生美希がいた。
なんと、美希がオレに声をかけてくれた。
「―――え、なっ、き、きき桐生っ!?」
オレはものすごくテンパってしまった。好きな女の子に話しかけられるという状況は生まれて初めてだったので、頭の中が混乱した。
「どうしたんですか竜先輩。そんなに慌てちゃって」
顔を真っ赤にしてテンパるオレを見て、美希は怪訝そうな顔をしてオレの顔を覗き込んできた。
「うわあっ!?」
近い!! 近い近い!!
オレの顔のすぐそばに美希の顔がどアップ。オレの顔と美希の顔の距離は3㎝くらい。
か……かわいい……!!!!!!
こうして改めて美希を見ると、本当に可愛い。
しかも、オレのことを竜先輩って呼んでくれた。名字じゃなく名前で呼んでくれるなんて……死んでもいいくらい嬉しかった。
「な、なんでもないよ……ご、ごめん桐生」
「? どうして謝るんですか? ま、いいか。竜先輩の球ってすごく速いですね。なんだか私、尊敬しちゃいます!」
話しかけられるだけでも十分嬉しいのに、美希に褒められた。
……これは夢か……? オレはほっぺたを引っ張った。痛い。
夢じゃない!! 夢じゃないぞ!!
オレのテンションは急上昇した。
「居残り練習をしてるなんてすごく偉いと思いますっ! 最後の夏に向けて気合い十分って感じですね!」
「あ、ああ、そうだな。武井に少しでも追いつきたいからな。エースの座を奪うくらいのつもりでやらなきゃダメだ」
「さすが竜先輩!」
急接近したまま美希と会話する。オレは緊張しまくりながらも平然を装って話した。
美希の顔を見るのが恥ずかしくなって、オレは視線を下に落とした。
「……っ……!!!!!!」
美希はTシャツを着ていて、急接近していたのでピンク色のブラジャーと、そのブラジャーに包まれた柔らかそうな胸が見えた。
胸の谷間がくっきりとできていて、ブラジャーにはヒラヒラした可愛いレースがついていた。
好きな女の子の胸というのは、男には刺激が強すぎる。今のオレは絶対に顔が真っ赤だ。トマトのようになってるはずだ。
そして、下半身のアレが大きくなってしまった。
オレが胸をチラチラ見ていると、美希はその視線に気づいたのか、両手でサッと胸を隠した。
「……竜先輩。今、私の胸を見てましたよね。エッチ」
「うっ、ご、ごめんっ! 本当にごめんっ!」
完全に胸を見てたことがバレてしまい、一生懸命謝罪した。
せっかく美希と仲良くなれそうだったのに、やらしいことをしてしまった自分を悔いた。とにかくオレは謝った。
「もう、気をつけてくださいよ? 男の子のそーゆーいやらしい視線って、女の子はすぐにわかっちゃうんですから」
少し困った顔をする美希に対し、オレはひたすら謝る。年下の女の子にペコペコするのは屈辱だが、今はそうも言ってられない。
とにかく美希に嫌われるという最悪の事態だけは避けなければならない。
「……でもまあ、竜先輩すごく練習を頑張ってますし、このくらい許してあげます。それに、こんなに下着が見えやすい格好をしている私も私ですしね」
どうやら美希は許してくれたらしい。オレはホッと胸を撫で下ろした。
「ところで竜先輩」
「ん? な、何?」
「来週の日曜日に大会へ向けての最終調整を兼ねて
「あ、ああ、もちろん!」
花島高校というのは県大会で対戦する可能性がある強豪校である。
もっとも、くじ運が悪くない限りベスト4ぐらいまで勝ち上がらないと当たらないけど。
「その試合で一番活躍した人に私がご褒美をあげることになったんですよ。監督がそうすればみんな本気で頑張るだろうって」
…………え!?
美希からのご褒美!? 美希からのご褒美だと……!?
ご、ご褒美ってなんだろうか……
気になる。ものすごく気になる。気になるので直接聞いてみることにした。
「な、なあ桐生。ご褒美って……何? 何してくれるの?」
オレが問うと美希は右手の人差し指を唇に当てて、頬をほんのりと赤く染めて、
「ヒ・ミ・ツ・です」
と言った。
…………
あ、オレ心臓を撃ち抜かれた気がする。死ぬほど可愛すぎる。萌えすぎて悶える。
やべえ今の美希超可愛い。表情も声もすごく萌えた。スマホで撮影・録音して永久保存したかった。
オレが今までの人生で一番ときめいた瞬間だった。
「ご褒美は活躍してからのお楽しみです。野球部の皆さん全員この事を知ってますのでみんな頑張ってくれると思います。
竜先輩も頑張ってくださいね。ベンチで応援しています!」
「……あ、ああ! ありがとう桐生!」
―――うおおおおおおおっ!!!!!! 俄然燃えてきた!!!!!!
絶対に活躍してやる! そして美希のご褒美はオレがもらう!
…………
とは言ったものの、練習試合の相手は何度か甲子園に出場したことがある強豪校。そう簡単に活躍できる相手ではないことは重々承知している。
ていうかそもそもオレは補欠だ。相手がどうこう関係なく先発投手は武井だろう。武井は優秀なピッチャーなのでオレに出番が回ってこない可能性も十分ある。
―――だが、それがどうした。試合に出られないときのことを考えてどうする。
やるしかないんだ。出番があることを信じてひたすら練習に励むしかないんだ。
美希にかっこいいところを見せるため、ご褒美をゲットするため、監督の評価を上げて県大会の先発を勝ち取るため、オレは頑張る!!
―――
美希と話したあと30分くらい自主練をして、夜の8時くらいに練習を切り上げ、家に帰宅した。
ご飯を食って、風呂に入って、寝る準備をした。
寝る前に、少し考え事をした。
……美希のご褒美って、一体なんなんだろうか? 考えても全く見当もつかない。
…………
もしかして、おっぱいを見せてくれるとか!?
……いやいや、それはないな。AVの見すぎだ。
美希は清楚な女の子だ。そんな淫らなことをするわけがない。ましてやおっぱいだなんて……
…………
……
おっぱいといえば、さっき見た美希の胸、すごくエロかったなあ……
オレはTシャツと肌の隙間から見えた美希の胸を思い出した。
でかかった。Tシャツの隙間から美しいラインを描く谷間が見えて、めっちゃいい匂いがした。
女の子の胸の谷間って絶対魔性のパワーがある。宇宙の真理が詰まっていると思う。
触ってみたい。揉んでみたい。どんな感触がするんだろ……美希の胸……
ムクムクッ
やばい、また勃ってしまった……
美希の胸を揉む妄想をしていたら、股間がもっこりと盛り上がってしまい、ズボンの上からでもわかるようになってしまった。
オレの脳内は美希の胸でいっぱいであり、ムラムラと性欲が沸き上がってきた。
これじゃ眠れない……仕方ない、抜くか。
オレはズボンとパンツを脱ぎ、下半身裸になってマスターベーションを始めた。
もちろん、大好きな美希をオカズにして。
いつもならお気に入りのエロDVDを見ながらマスターベーションをするのだが、今日は美希のピンク色の可愛いブラジャーと白くて豊満な乳房を思い出すだけで十分だった。
……くっ、美希っ、美希っ……!!
自分の脳内で美希を押し倒し、服を脱がせて豊満な乳房を揉みまくり、乳首にしゃぶりつく。
そしてパンツも脱がして、美希の大事な恥ずかしいところも好き放題にする。
その後美希の大事な部分が潤ってきたら、自分の欲望を突っ込んで犯しまくる。
美希とセックスしてるところを想像しながら、マスターベーションの速度はどんどん上がっていった。
美希をオカズにしているということを美希が知ったらどんな反応をするんだろうか。
もし美希が見てたらどうしよう……もし美希が見てたら……と思うとより一層興奮が増す。
軽蔑されるだろうか。キモいって言われるだろうか。それならそれでアリだと思ってしまう自分の変態度が憎らしい。
美希っ!! 好きだ! 大好きだ! 美希っ!!!!!!
―――
オレは快楽の頂点に達した。
はあ……す、すごく気持ちよかった……今までの人生で一番気持ちよかったマスターベーションだった。
マスターベーションを終えて性欲が収まると、急に罪悪感が沸いてきた。
オレは美希をオカズにしてしまった……満足感が半分、後悔が半分という複雑な気分になった。
―――
翌日。オレは朝練に来ていた。
学校に着くと、いきなり昨夜のオカズである美希と会った。
「っ……!お、おはよう桐生っ!」
昨日オカズにしたということもあって美希を見るとなんだか申し訳ない気分になった。なんかめっちゃ挙動不審でキモくなってしまった。
美希はニコッと笑って、
「おはようございます、竜先輩っ。どうしたんですか?またそんなに慌てちゃって」
と、挨拶を返した。
「い、いや、何でもない。桐生ってすごく可愛いなって思って。思わず見惚れてしまった」
「やだもう、竜先輩ったら。褒めたって何も出ないですよ?」
可愛いなんて言われ慣れてるのだろう。美希は至って冷静に返した。
とにかく、オレは美希と会話が出来るようになった。少し前までは一度も話したことなかったのに。
オレの恋は、ようやく一歩前進した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます