ヒロインは多肉植物!?~異世界でも多肉植物(女の子たち)を愛でることになりました~

柚子桃しずく

第1話 転移した

おはよう!

今日もみんな可愛いね。

みんな元気かな?

あ~桜ちゃん、ピンク色が素敵だね。

オーロラちゃんも、ラインがうっすら素敵だね。


おれは、八乙女 心(やおとめ しん)。

社会人3年目の普通のサラリーマンだ。

唯一の趣味は多肉植物を育てること。


[多肉植物とは、葉や茎または根の内部の柔組織に水を貯蔵している植物である。一般的に知られているのはサボテンだろう。しかし、種類が多くサボテンと多肉植物というようにわけて呼ばれている]


おかげで、この通り部屋の中は多肉植物でいっぱいだ。

天気のいい日は日当たりのいいところに置いて、日光浴をさせてあげるんだ。

そうすると、どんどん元気に育ってくれる。


さあ、今日は天気がいいし外に出してあげようかな~

すると、突然地面が揺れた!

地震か?

ん?

足元になにか光る円状のものが現れた。

なんだこれ!?

呪文!?

次の瞬間体が宙に浮いた。

わぁ!

なんだこれ!?

バランスがとれなくなった。

わぁ!

おれの大事な多肉植物たちも浮いている。

わぁ!

おれの、た・に・く~

やめてくれ!


次の瞬間、呪文部分が暗くなり穴があいた。

ブラックホール!?


おれの大事な~

わぁ~


そして、その穴に吸い込まれた。


――――


ん?

おれは目を覚ました。

ここは、どこだ?

おれ生きているのか?

あたりを見渡す。

大きな部屋の真ん中におれは横たわっていた。

まるで王宮のようなりっぱな建物のようだ。

すると、ひとりの女性が近づいてきた。


「お目覚めですか?」


わぁ! びっくりした!

人がいたんだ、気がつかなかった。


「は、はい」

「王さまをお呼びしますのでそのままお待ちください」


え?

王さま?


すると、階段の上の脇から日の光を浴びているかのような光輝く人がでてきた。

そして、壇上にある立派な椅子に座った。

女の人?

よく見ると肌が白くて綺麗な人だ。

あの人が、王さまなのか?


「きみが、心(しん)か?」

「なんで、おれの名前を知っているんだ?」


おれは普通の話し方で話した。


「こらっ! 王さまに向かってその話し方は……」

「まあよい、プロリフィカ!」

「ですが、王さま……」

「まあまあ……」


この人はプロリフィカっていうんだな。

ふふっ、多肉植物にもこの名前あるな。

笑えるな。

よく見ると小柄で可愛い感じの人だ。


「心!」

「はっ、はい」

「きみをこの世界に転移させたのはいうまでもない、このわたしだ」

「え? おれ転移したの?」


プロリフィカがまたおれのことをみて睨んでいる。


「転移したのですか?」


おれはことば使いを直してみた。


「ああ、すまない訳があってきみを呼んだのだ」

「訳ってなんですか?」

「この国を助けてもらいたいんだ」

「え? 助ける?」


プロリフィカが咳払いをした。


「うっ、うん」


はいはい、わかりましたよ。


「国を助けるってどういうことですか?」


おれは、なるべく丁寧な言葉使いで話そうと思った。


「実は……」


こんなおれにできることなどなにもないのに、なぜこのおれが転移させられたのかが気になった。


「この国は今、男性がまったくいなくなってしまった」

「えっ? そうなんですか」

「女性たちは12歳になると成人して男性と共に歩むのが普通だった。それがあるときから女性たちが12歳になっても成人しなくなったのだ」

「成人しないとはどういうことですか?」

「成人の儀式というものがあって、ある洞窟に男性と一緒にいき魔物を倒しレベルアップしていくと成人した証が得られるのだ」

「成人の儀式……」

「ここ最近は男性がいないこともあって洞窟にすら行けていない状況なのだ」

「それは……」

「そこでだ、きみにある女性と洞窟にいってその女性を成人させてほしいのだ」

「なぜ、おれなんですか?」

「それは……わたしにもわからない」

「え!?」

「とにかく召喚魔法できみが一番ふさわしいと選ばれたのだ」

「そ、そうですか」


嬉しいような嬉しくないような。

しかも、おれ魔物退治なんてしたことないしできないし。


「この国を救ってくれ!」

「は、はいおれにできるでしょうか?」

「ああ、たぶん」


はははっ……。

不安しかない。


「期待している! きみにこの剣と盾を授けよう」


プロリフィカがおれの近くにもってきた。

わぁ!

すっげえ~

おれは剣と盾をもってみた。

うぁ!

重い。

しかも、ちょっと錆びてるな。


「王さま、お見えになりました」


ん?

おれが剣と盾をみている間に、プロリフィカがだれかをつれてきた。

女の子か?


「おぅ来たか、ヒメシュウレイ」


ヒメシュウレイ?

多肉じゃん!


「心!」

「はい!」

「さっそくだが、このヒメシュウレイをまずは成人させてほしいんだが……」


ヒメシュウレイをみた。

少し小柄な女の子だが、少し肉付きがよさそうに思える。

触ったらぷにぷにしていそうだ。

そして、なんだかエロイ。

おれはなにを考えているんだ。

頭を横にふって変な考えを振り払った。

髪の毛は薄いピンクでくるくるの巻髪だ。

うちの多肉ちゃんを思いだす。

なんか似ているな。

ふふっ。


「心! 聞いているか?」

「はっはい、わかりました」


あ~おれはわかりましたといってしまった。

転移された以上帰ることができないんだから、やるしかない。


「心さん、よろしくお願いします」


ヒメシュウレイが声をかけてきた。

思わず答えてしまった。


「ああ、わかった」


実際おれになにができるかわからないが……。


「プロリフィカ、あとは頼んだ」

「はい、かしこまりました」


そういうと、王さまは部屋をでていった。


「では、心さまこれからのことをお話しいたします」

「はい、お願いします」

「では、場所をかえましょう」


――――


おれはプロリフィカのあとについていった。

お城を出て、街を歩いた。

街にはやはり女の子しか見当たらない。

話は本当のようだ。


「心さまには普通の生活をしてもらいます」

「はい」

「この街に家がありますのでそちらにお住まいください」

「わかりました」


家をちゃんと用意してくれてるんだな。

よかった~

歩いていると、女の子たちがおれを見てくるのがわかった。

みんな可愛い子ばかりだ。

なんだか、照れるな~


「こちらになります」

「あっはい」


顔をあげると、結構な大きな一軒家だ。

一人で住むには大きすぎるのではないかと思うくらいの家だ。


「大きな家ですね」

「はい、王さまが快適に生活できるようにとおおせになりましたので用意させていただきました」

「そうですか」

「では、お入りください」

「はい」


おれは家に入った。

わぁ!


「広い!」

「気にいっていただけましたでしょうか?」

「もちろんです」

「それはよかったです」


おれは部屋をきょろきょろしながらみていた。


「心さま、それではこちらにお座りください」

「あっはい」


おれはプロリフィカにいわれた通り、リビングのいすに座った。


「ヒメシュウレイも座りなさい」

「はい、わかりました」


ヒメシュウレイも一緒についてきていた。

明日からの話をきいて一緒に洞窟にいかなければならないからな。

それにしてもなんどみてもエロ可愛い!

まともに見れない。

うううっ!

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