「助かったよ!」 それは良かった。 でも次は、個人メールはやめてもらえると……

「助かったよ!」

それは良かった。

でも次は、個人メールはやめてもらえると……



「島本くん! さっきは助かったよ! ありがとう」

 休憩室で缶コーヒーを買っていると、背後から同期の竹本くんが嬉しそうに近寄ってきた。

「いやいや、解決して良かった」

 彼の笑顔を見ると、良かったなあと嬉しくなる。今日の午前中にシステムで急なトラブルがあったということで、僕に問い合わせが来たのだ。

 調べてみると、竹本くん以外の人が登録していたデータが誤っていて、集計がうまくできていなかったのだ。不具合ではなかったことに、僕は内心ホッとした。

「またなんかあったら頼むよ!」

 竹本くんは笑顔のまま立ち去っていく。



 僕は竹本くんの背中を見送りながら、ぼんやりと考える。 

 あいつ、何度言っても聞いてくれないんだよなあ。なにか依頼があるときは、依頼用のシステムに入れろって。せめて、個人メールじゃなくて、部署のメーリングリストに送ってくれたらなあ。



<切実>

個人ベースの頼み事はやめてもらえませんかね。お願いだから。



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