第24話
プリドラ学園初日。
私はもう、後ろには引かない。レオルド様が、いつも助けてくれるからだ。
学園生活では失敗を恐れずになにごとも挑戦していき、色々なことを経験していくつもりだ。
そして、レオルド様と一緒に学園生活を楽しみたい。
学園の門をくぐり、指定された教室へ行く。
私とレオルド様の教室は別だったが、登校と下校は一緒に行動するつもりだ。
「あらぁ、次席のソフィーナじゃないの」
「お久しぶりです。ヴィーネ義姉様。首席おめでとうございます」
「当たりまえよ。どこかの誰かみたいに、インチキをするようなことなんてしないでも、圧倒的な魔力量で首席に君臨したので」
どこかの誰かって誰のことだろう。
どうやらインチキして試験を受けた人がいたらしい。
「その人は合格したのですか?」
「ええ。首席の私の力でそいつがいかに底辺なのかを見せつけてあげるつもりよ」
ヴィーネ義姉様は、私に力強い眼差しを向けて決意をあらわにしているようだった。
この前向きさ……。
見習おう!
「応援します! 頑張ってください!」
「は……? え、えぇ。当然よ」
ヴィーネ義姉様は驚いているようだった。
「あんた、本当にソフィーナよね?」
「もちろんですよ」
「制服も着こなし方が……。それに、今までだったら私が口を挟めば顔を落としてヘコんでいたでしょう?」
「えぇと……、学園デビュー?」
「なんで聞いてくるのよ! もういいっ。とにかく、覚悟しておきなさいよ!」
今度はなぜかヴィーネ様は悔しそうにしながら、前方の席へと戻ってしまった。
いったい、なんだったのだろう。
ところで、ヴィーネ義姉様の話だと、この中に不正をして合格した人がいるようだ。
不謹慎かもしれないが、これは嬉しかった。
不正した相手にも負けず次席としてこの学園に入学できたのだから。
前向き前向き。
ヴィーネ義姉様が席に着いたタイミングで、教室に四十代くらいの男性が入ってきた。
教壇の前に立ち、軽く会釈をする。
「魔法学科の担任をするセドムだ。よろしく。なお、これから三年間、学園内では貴族平民問わず仲良くするように。そのためにも皆、まずは自己紹介をしてもらおう」
順番に自己紹介していく。
同級生の話を聞いていると、魔法学科には貴族が多いようだ。
みんな誇らしげに○○の令嬢だとか、○○の令息、と語っていた。
いっぽう、平民の同級生はどこか遠慮しながらだ。
私は前向きにいくと決めたが、こういう場でレオルド様の婚約者だとか、男爵ですとは言いたくなかった。
ここは控えめにしておこう……。
前向きはどこへいったのやら。
私の番の直前、先にヴィーネ義姉様が自己紹介をする。
他のみんなはその場で挨拶していたのだが、ヴィーネ義姉様は教壇の前に立って挨拶を始めた。
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