第21話
私が返答に悩んでいたらセバル様が、『家庭になにかしらの理由があったのだろう』と言ってくれた。
おかげで私の物置小屋生活に関してバレずに済んだ。
ただ、セバル様のニヤリと笑みを浮かべた表情が少しだけ恐かった。
まるで、私の過去を知っているかのようにも思えたからである。
そう思いながら、今は国王陛下のいる部屋へ。
レオルド様は先ほど魔力を注いだ魔力測定器を、エアコンと繋げていた。
その直後、エアコンの風力が強くなり、この部屋だけ暖かく過ごしやすい気温にまでのぼった。
魔力測定器にはさっきまでは『977587』と表示されていたのだが、『977584』となり、3だけ数字が下がった。
「おそらく、一日中部屋を快適な温度にするためには、概ね350ほどこのメーターが下がります。他にもライトや給湯にもこの魔力測定器に貯めたエネルギーで常時使えるようにしておきました」
「ふむ。これでこの部屋には魔導士がいなくとも自由に使えるというわけか……。素晴らしすぎる」
国王陛下は、喜びながらも驚いていた。
「ところで、この魔力測定器とやらは百万近くの魔力が溜まっているのだろう? どうやってこんなに貯めたのだ?」
「「え……」」
「王宮の魔導士の採用基準は、5000以上の魔力が必要としているが」
また鋭いところをつっこまれてしまう。
黙っていると誓ったばかりなのに、一瞬でバレそうになっているのだ。
私もレオルド様も目が泳いでいた。
「フッ。まぁ良いわい。今は詮索しないでおこうか。むしろ、これだけの魔力がいつでも使えるとなれば、しばらくは別の場所で魔導士たちを使えるから助かるわい」
「そう言っていただけて助かります」
「ソフィーナよ、学園での活躍を期待しておる」
「は……はい」
もしかして、バレているのではないだろうか。
だが、国王陛下はこれ以上なにも言うこともなく、ただただ魔力測定器を見ながら満足そうにしているだけだった。
「これは商品化させるのか?」
「はい。こちらはサンプルでして、販売用の物は30000程度の魔力が溜められるものにしようかと考えております」
「ふむ。平民の家一軒で一ヶ月ほどは許容できそうな量か」
「こちらのようにより多くの魔力を蓄積するような魔石を使おうとすると、非常に高価な金額になってしまいます。各家庭で日常的に使えそうなものとなると、それくらいが望ましいかと」
「うむ。レオルドよ。男爵に叙爵し早速手柄を立ててくれたな。国を代表し感謝する」
レオルド様が照れながらも頭を下げていた。
この光景を見て、私はとてつもなく嬉しかった。
ずっと頑張ってきたレオルド様が国王陛下に認められ、褒められている。
これほど嬉しいことなど、他にあるだろうか。
私はレオルド様にパチパチと拍手を送った。
「ソフィーナも、これからレオルドの側で支えられるよう頑張るのだ」
「はい。もちろんでございます」
「うむ。時期としては早いが、この魔力測定器の販売されるようになったら、二人とも子爵へ叙爵させよう」
「子爵ですか⁉︎」
レオルド様が驚きながら陛下の顔を見る。
私も顔には出さないようにして、驚きを隠した。
デズム義父様と同じ地位にまで上がってしまうのだ。
これは、もしかすると大チャンスなのではないだろうか。
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